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「モバイル決済」は低所得者の救いにはならない
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フィンテック企業の多くは、低所得層や銀行口座を持たない人々の問題がモバイル決済で解決できると考えている。この考え方自体に問題があることを指摘しておこう。
モバイル決済を使うためには、まともに使える携帯電話が必要になる。世界の中で情勢不安定な地域では、通信ネットワークが利用できない。政府が安全保障上の理由で携帯電話回線やインターネット回線を遮断していることもあるからだ。
安定した国でも、モバイル決済の前提条件として、携帯電話を購入し、毎月、通信料金を支払う必要がある。残念ながら、利用者が料金を支払えないために携帯電話が止められてしまうことも多い。つまり、生活苦に陥れば、モバイル決済を行うことも、送金を受け取ることも難しくなりかねないのだ。
この問題は軽視できない。米国の携帯電話会社大手に、ベライゾンとTモバイルという会社がある。景気がよかった2021年に、全料金プラン収入のうち、ベライゾンは2.6%、Tモバイルは3.5%の回収不能を見込んでいた。要するに、携帯電話利用者の約3%が滞納のためにサービス利用停止に追い込まれたことになる。
米国政府もこの問題を認識していて、通信分野を所管する米連邦通信委員会(FCC)が低所得層向け電話料金補助制度「ライフライン(Lifeline)」を打ち出した。
これは、低所得者が携帯電話の通信料支払いに月額9ドル超の補助を受けられる制度である。が、低所得者がこの補助を受けるためには、3カ月にわたって資金がまったくないか、ほとんどないことを証明する必要がある。突然貧困に陥った場合、所得や資産がなくなってから数カ月待たねば、この制度の対象にならないのだ※。
※ AT&Tは、携帯電話部門の貸倒償却額や不良債権処理額を明らかにしていない。ベライゾンとTモバイルのデータは、2021年の各社年次報告書から。「ライフライン」のデータは、https://www.fcc.gov/lifeline-consumersers. Verizon, p. 83 (https://www.verizon.com/about/sites/default/files/2021-Annual-Report-on-Form-10-K.pdf)T-Mobile, p. 56(https://s29.q4cdn.com/310188824/files/doc_financials/2021/ar/TMUS-2021-Annual-Report.pdf)
ほとんどの決済が電子化を進め、多くの人々がモバイル決済を使う社会にあって、電話が使えなくなれば、友人や家族と連絡も取れなくなるばかりか、買い物もできないことを意味する。まだ現金が使える社会であれば、電話が使えなくなったとしても、買い物は可能である。
「脱現金」は経済格差を悪化させる
現代社会では、経済的な格差が広がる一方だ。脱現金も、経済格差の原因の1つと片付けるわけにはいかない。脱現金で経済格差の問題は悪化の一途をたどることになる。
脱現金の流れの中で、ホームレスや低所得層が利用できる店も病院も飲食店も減少している。脱現金によって、善意の寄付行為も減少する。また、高所得層の支出を補助するための原資を、低所得層に押し付ける構図が生まれた理由も、脱現金にある。
そして、銀行を信用しない人々や銀行を好きになれない人々が、金融システムの一部に組み込まれ、高い手数料を取られている。現金を難なく使える状況を維持することこそ、低所得層に力を与えることになるのである。
キャッシュレス社会を志向する推進派は、キャッシュレス化で金融包摂や金融の公平性といった崇高な目標に向かって前進できると信じて疑わない。だが、それを言うなら、誰でも製品・サービスの売り買いに余計な費用をかけず、容易に実行できる手段がすでに存在するではないか。簡単で低コストで公平な現金である。
ジェイ・L・ザゴースキー
米ボストン大学大学院
特任准教授
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