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カード利用者は、「特典」の2倍以上手数料を支払っている
所得移転の総額は、腰を抜かすほどだ。連邦準備理事会の調査チームの計算によれば、カード1枚当たり、調査対象となった1カ月間に、平均約10ドル相当の特典を獲得しているという。また、こうした特典付きカードは、同じ1カ月間に手数料と利息で平均約22ドルを請求されていた。
調査チームがデータを入手できた銀行は19行にとどまるが、こうした銀行が発行した特典付きカードは、約1億2000万枚に上る。年間で見れば、この19行だけで、カード利用者に年140億ドル超の特典を付与していて、ポイント付きカード利用の特典を付与するために、年に約320億ドルを利用者に請求している。
この数字で特に注目すべき点がある。「特典」を受け取る利用者のほとんどは、受け取る利益よりも支払う手数料のほうが多いのだ。
ポイント還元は、低所得者から高所得者への“見えない税”
特典付きのカードやプログラムが低所得層や金融知識の乏しい人々からお金を集めて、それを高所得層や金融に詳しい人々に配る方法は、いくつかある。
第1に値上げである。電子決済は、販売店にとってはコスト高だ。小売店では、この余計な出費を販売価格の引き上げで埋め合わせる。
もっとも、航空会社のマイルを獲得したり、クレジットカード会社からキャッシュバックを受けたりする人々には、値上げの影響はない。余計に払わされた分かそれ以上の額を取り戻しているからだ。しかし、現金払いやデビットカードやプリペイドカードを利用している低所得層は、本来よりも高く支払わされるうえに、何の特典も得られない。
さらに、高付加価値の特典付きカードによる支払いは、特典やサービスのない一般カードよりも小売店の負担が大きくなる。平均的な小売店の場合、手厚い特典のカードによる決済の際に負担させられる手数料は、特典のない一般カードによる決済よりも約1%も多い。
特典のない一般カードから、手厚い特典のカードに利用者が移行すればするほど、小売店は、余計なコストを転嫁するためにさらに値上げせざるを得なくなる。特典付きカード決済の際に、1%多く取られても大したことがないように思える。だが、米国の消費者は、特典付きカードで年に何兆ドルも買い物をしていて、すべての人々の生活費が数十億ドルも多めにかかっていることになる。
「リボ払い」で払われた余計なお金が、高所得者の特典に
低所得者や金融知識の乏しい人々から、高所得者や金融に詳しい人々へ所得が移転する第2の理由は、利息と手数料だ。
クレジットカード利用者には、いくつかのタイプがある。コンビニエンスユーザーと呼ばれる利便性享受型の利用者は、毎月、利用残高を全額返済し、利息を発生させず、特典を受け取る。
リボルバー型利用者は、利用残高の一部しか返済せず、残りを繰り越している。当然、手数料がかかり、利息が発生する。その負担分がクレジットカードのネットワークに支払われ、前出の利便性享受型の利用者のために使われているのだ。
調査で明らかになったように、利便性享受型の利用者は、リボルバー型利用者よりも高所得で、金融にも詳しい。平たく言えば、リボルバーがクレジットカード会社に献上した資金が、利便性享受型の利用者の無償特典に化けているのである。
低所得者から集めた資金で、高所得者に施す特典が用意されているわけだ。現金中心の社会に戻れば、低所得者が強制的に高所得者に資金を提供させられるルートを1つ削減できる。
