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クレカの「無料特典」の原資は“経済的弱者”が負担している
誰しもタダでもらえるものは大歓迎だ。多くのクレジットカードがポイントやマイル、その他の特典を提供している。
こうしたカードの大々的な宣伝から察するに、ポイントを集めた特典として無料の旅行などが手に入る。これまでの現金払いをポイント付与型カードによる決済に切り替えるだけでいいのだ。
「無料旅行」の特典に魅力を感じない人々もいるかもしれないが、ポイントが社会運動や慈善活動の支援に使われるものもある。カード利用のたびに利用額の一定のパーセンテージに当たる額を関係団体に寄付する仕組みだ。
残念ながら、今の社会には、タダ飯のようなものは存在しない。ポイント、マイル、特典、寄付に相当する莫大な金額をどこかの誰かが払っているのだ。当然ながら、太っ腹な銀行や心優しい金融機関が自腹を切って捻出しているというわけではない。こうした特典の原資は、低所得者や金銭面にあまり詳しくない人々が払っているのだ。
クレジットカードを使って航空会社のマイレージプログラムで何マイル稼いだとか、いくらのキャッシュバックがあったなどと、戦利品をひけらかす人が周囲にいないだろうか。平たく言えば、知らず知らずのうちに低所得者や金融リテラシーのない人たちに付け込んでいることを自慢しているようなものなのである。
低所得層から高所得層へ富を移すクレカ決済
エコノミストのさまざまなグループがこの問題を調査している※。ボストン連邦準備銀行の調査チームは、次のように指摘する。
※ Agarwal et al. (2023) , Felt et al. (2021), Schuh et al. (2010)
調査の結果、高所得者が獲得する特典の額は大きく、「最高所得水準の世帯(世帯年収15万ドル以上)が毎年750ドルも手にしている」ことが判明した。高所得者が受け取る金額は、低所得のクレジットカード利用者や現金決済者が負担している。
カナダ銀行の調査チームは、次のように指摘する。
連邦準備理事会の調査グループが何百万ものクレジットカード口座を分析したところ、「クレジットカードのポイント制度は、低学歴層から高学歴層へ、低所得層から高所得層へ、マイノリティーの多く住む地域からあまり住んでいない地域へと所得を移転させる結果、既存の空間的格差を拡大させている」と指摘する。
