バブル絶頂期に“苗場の1LDK”を買った〈年収1,200万円〉エリートの後悔。35年後「1円でも買い手はつきません」夢の別荘は“負動産”と化して詰みかけの年金生活

バブル絶頂期に“苗場の1LDK”を買った〈年収1,200万円〉エリートの後悔。35年後「1円でも買い手はつきません」夢の別荘は“負動産”と化して詰みかけの年金生活
(※写真はイメージです/PIXTA)

バブル絶頂期の当時、年収1,200万円を超えていた元エリート会社員の田中さん(仮名・75歳)は、1990年に苗場のリゾートマンションの一室を3,200万円で現金で一括購入。しかし、年金生活に入った現在、月々4万5,000円の維持費が家計を激しく圧迫しています。老朽化して1円でも売れない「負動産」と化したかつての成功の証が、穏やかに過ごすはずだった老後を奪った事例を紹介します。

手放したくても手放せない「負動産」

妻からは、顔を合わせるたびに「もう手放して。誰かに譲って」と懇願されています。

 

しかし、どれほど手放したくとも、もはや出口は見つかりません。仲介業者に相談した際、担当者は冷淡にこう告げました。

 

「田中さん、正直にいいますよ。ここは1円でも買い手はつきません。むしろ、今すぐ手放したいなら、処分費用としてあなた自身が数十万円を支払う必要がある。それくらい、今の苗場は厳しいんです」

 

かつて「資産」と呼んでいた55平米の空間は、今やマイナスの価値しか持たない厄介者となりました。管理組合は滞納者であふれ、修繕の目処も立たないまま、建物の資産価値はゼロに向かって突き進んでいます。

 

「全盛期の自分の判断を、今の自分が否定し続ける。これほど惨めなことはありません。この支払いを抱えたまま、残りの人生を過ごしていくしかないのでしょうか」

 

田中さんの手元に残ったのは、もはや誰も羨まない古びた鍵の束と、終わりの見えない維持費の請求書だけ。かつての「夢の別荘」は、今や穏やかな老後を脅かす、重い負担へと姿を変えています。

 

リゾートマンションに潜む「所有の罠」

田中さんのように、かつての「夢」が老後の家計を圧迫する「負動産」と化すケースは、決して他人事ではありません。バブル期にリゾート物件を購入した多くの世代が、同様の現実に直面しています。

 

国土交通省が2024年に公表した「令和5年度 マンション総合調査」によれば、築30年超の物件では修繕積立金の不足や滞納が深刻化しています。特に共用施設が豪華なリゾートマンションは維持費が高額になりやすく、たとえば年間30万円の維持費を要する物件であれば、30年間で計900万円もの固定費が家計を圧迫します。買い手にとっては「資産」よりも「将来の支払い義務」という負担が勝るため、1円でも売れない「資産価値の逆転」が起きています。

 

さらに、2023年に開始された相続した不要な土地を一定の条件で国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」も、建物がある土地やマンションの区分所有権は対象外です。不用品のように「廃棄」することができず、手放せないまま管理費を払い続けるしかありません。

 

物件ごとに異なる「維持費の不透明さ」と「出口のなさ」が、老後資金を枯渇させる致命的なリスクとなっています。

 

[参考資料]

国土交通省「令和5年度 マンション総合調査結果」

法務省「相続土地国庫帰属制度について」

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