(※写真はイメージです/PIXTA)

宗教法人制度は、本来、信教の自由を保障し、宗教活動の継続を支えるために設けられた。しかし近年、その制度が税制優遇を目的とした法人売買や資産移転に利用されている実態が明らかになりつつある。文化庁が危機感を示すなか、宗教法人の監視体制をどう構築するのか。制度の信頼回復に向けた議論が、いま避けて通れない局面に来ている。

不活動法人約5,000…“空き家化”が生む「宗教法人売買」の闇

2025年8月、文化庁が日本税理士会連合会に対し、次のような協力依頼を行った。

 

「今般、宗教法人法に基づき設立された宗教法人について、その本来の目的を潜脱した宗教法人の売買に類似した取引の事例が見られるところ、文化庁としましては、この課題の解消に取り組む必要があると考えております。つきましては、貴会の御協力をいただきたく、御連絡いたします」

 

かつて国税当局も「パナマ文書」の公表を受け、租税回避策を企業や富裕層に指南する税理士にスキームの開示を義務づけようとしたが、バレないスキームで高額報酬を得ている者が通報するはずがないとの意見や、税理士業界からの強い反発もあって導入を見送っている。

 

宗教法人売買には専門的知識をもった会計士・税理士などがスキームを構築しているケースがあって、そもそも通報するのかとの疑問が沸く。しかしながら、文化庁の発表では不活動法人が約5,000もあり、待ったなしの問題だ。加えて、すでに第三者の手に渡った宗教法人の監視体制の構築も急がれる。

 

これらの問題を放置しておけば、脱税やマネーロンダリングなどの犯罪に使われることは目に見えており、空き家問題と同様に不法投棄や占拠、火災など見過ごすことのできない問題が想起される。

公益法人を利用した潜脱スキーム

筆者が現役時代に目にした公益法人の潜脱スキームに、固定資産の処分損益の非課税がある。公益法人等が相当期間にわたって固定資産として保有していた土地、建物等を処分した損益については収益事業の損益に含めないことができる。つまり、どんなに莫大な利益を得ても税金がかからないのだ。

 

財務基盤の弱い公益法人等が、存続のためにやむなく処分した不動産のキャピタルゲインにまで課税しない趣旨から設けられたのだが、これを悪用した手口が富裕層に広く知られている。

 

たとえば、鉄道の延伸計画や大規模商業施設の開発計画がある地域の不動産を噂の段階から二束三文で取得し、宗教活動の実態を偽装することによって、所有期間の固定資産税を非課税にする。開発計画が実現すれば土地価格が爆上がりするものの、おおむね10年以上にわたって保有していた土地、建物等の処分損益なら税金がかからず、合法のため税務調査で修正されることはない。

 

筆者には、休眠宗教法人を買い取って、宗教活動の実態を偽装している事例があるとの相談が寄せられている。土地の値上がり益の非課税を狙ったスキームと判断しているが、この宗教施設には人の出入りがまったくないという。

 

ところが、ネット上にはコラムやイベント情報だけが残っている。気になるのは、この宗教法人が不動産を次々と取得しているとのことだが、利用目的は判然としていない。

 

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