足元で加速する株高・円安・金利高。市場では高市政権の財政政策による「日本国債の信認低下」を危惧する声も上がるが、真の要因は別の場所にある。2026年3月末に控えた生命保険会社への「新監督基準(ESR)」の適用だ。この制度の壁が生んだテクニカルな需給の歪みが、超長期金利を不自然に押し上げてきた。制度移行の節目となる4月、これまでのトレンドは劇的に反転する可能性がある。日本経済の「反転のシナリオ」を、Jトラストグローバル証券株式会社チーフ・インベストメント・ストラテジストの上田祐介氏が読み解く。

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制度移行後の需給正常化。4月以降、円安・金利高はピークアウトへ

保険会社に関する監督制度の移行をまたいだ2026年4月以降は、テクニカルな需給要因が抑制される可能性がある。それまでに国債金利と物価上昇率との差が充分に縮まるか解消していれば、国債金利だけでなく為替の円安傾向の円高への反転のきっかけともなり得る。

 

ただし、こうした需給面での影響が新基準移行後の2026年4月以降も恒常的に継続するとは限らない。その理由として、①保険債務のデュレーションが運用資産のデュレーションより長い場合にはむしろ金利下落がリスクになり得ること、②株式会社形態の保険会社などではリスク量だけではなく収益性も重視されるため、十分な水準のESRが確保できていれば、利ザヤの大きい超長期債券を買わない理由とはならないこと、などが挙げられる。

 

保険会社も、とうぜん新たな監督制度の特性を加味した運用の最適化を行うため、新制度開始後においては利回りが大きく上昇していても超長期債を買いにくい状況が継続するとは考えにくい(たとえば、既存の保険契約と新契約を分けて内部でのリスク認識を行ったうえで、最終合算してオフセットする等、さまざまな方法が考えられる)。一部の生保が、積極的に超長期債を買えるような対応を行えば、もともと発行額の少ない債券で需給も反転しやすく、超長期金利のオーバーシュートが是正される局面も生じ得る。

 

このように、過去1年弱の間の国内金利の上昇には、市場参加者が限定された超長期債券特有の需給状況が影響した可能性があり、こうした一時的な需給要因は2026年4月以降には解消される可能性がある、と筆者は考える。

 

少なくとも、制度的な需給影響はあくまでテクニカルな要因であり、日本の国債に対する「信認」とは明確に異なる、という点は意識して1~3月の相場には臨むべきだろう。言い換えれば、円金利高と円安は3月末までにピークアウトし、その後はトレンドが逆転する可能性がある。現実に、「信認」が失われていない以上、利回りの急騰は単なる居所を探る動きであり、利回り水準次第で国債は充分に買い対象ともなり金利上昇トレンドも転換しうるためだ。

 

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記事内*1:https://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2026/calendar251226.pdf
記事内*2:https://www.fsa.go.jp/policy/economic_value-based_solvency/10.pdf

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