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軍事作戦の背景と石油利権の関係
2026年1月3日、米国はベネズエラに対して大規模な軍事攻撃を実施し、マドゥロ大統領夫妻を拘束しました。作戦の目的として米国政府は「麻薬密売やテロ組織の壊滅」を掲げていますが、実際にはベネズエラの豊富な石油資源を確保する意図があるとの見方もあります。
石油埋蔵量の国別ランキングでは、①ベネズエラ、②サウジアラビア、③カナダ、④イラン、⑤イラクが上位5ヵ国です。確かにベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を有しますが、その多くは精製が難しい重質油です。
一方で、中東諸国で産出される石油は軽質油であり、精製が容易です。中国はエネルギー資源の確保を目的に、米国に対抗する形でベネズエラに資金提供を行い、同国は輸出石油の約80%を中国に供給しています。さらに中国は山東半島に重質油精製用の製油所を建設しており、この石油供給ルートと今回の米国の軍事作戦には関連があると指摘されています。
ベネズエラの石油と国際税務のつながり
日本が締結している日米租税条約第5条(恒久的施設)では、第5条2項(f)に次のような規定があります。
この「石油の坑井」という規定が盛り込まれた背景には、ベネズエラの石油開発が関係しています。南米のカリブ海周辺は第一次世界大戦当時、英国の影響下にありました。1914年、ベネズエラのマラカイボで世界最大級の油田が発見され、同国は石油収入を基盤に南米の地域先進国へと発展しました。しかし、この油田を開発したのは英国資本のシェル石油でした。
1920年代、国際連盟においてモデル租税条約が作成された際、「石油掘削によって利益を得た場合は、その国に課税権を認めるべきだ」という意見が出されました。この議論を基に、現在の租税条約における「石油の坑井」に関する条文が整備されたのです。この規定は日米租税条約に限らず、ほとんどの国際租税条約にも同様の形で採用されています。
矢内 一好
国際課税研究
首席研究員
