高市政権、経済底上げ・支持基盤拡大を同時に狙う戦略へ
まず、日本の政治状況から見てみましょう。高市政権は、2025年10月の発足以降、政局の安定化を最優先課題としてきました。自由民主党を基盤とする与党は、野党との協調姿勢を強め、とりわけ予算編成では生活支援策など野党提案を部分的に取り入れる柔軟な対応を見せています。
この姿勢は、将来的な衆議院解散・総選挙を視野に入れた布石とも受け取れます。高市首相は積極的な財政出動を掲げ、インフラ投資やデジタル化推進に重点的な予算配分を行う方針を明確にしています。経済の底上げと支持基盤の拡大を同時に狙う戦略といえるでしょう。
GDP成長マイナス、円安、長期金利上昇…経済面の課題が顕在化
もっとも、経済面では課題も顕在化しています。2025年7〜9月期のGDP成長率は前期比▲0.6%(年率▲2.3%)と、6四半期ぶりのマイナス成長となりました。雇用は比較的安定しているものの、設備投資の伸び悩みや輸出減少が足かせとなっています。
為替市場では円安基調が続き、12月末時点でドル円は1ドル=156~157円台まで円安水準が切り上がりました。米国との金利差や貿易赤字の拡大が主因です。一方、長期金利は上昇傾向にあり、10年物国債利回りは2%台に達しました。金融政策正常化が進む中、企業の資金調達や住宅ローンへの影響が意識され始めています。
2026年の日本経済は、成長率1〜1.5%程度が見込まれるものの、円安による輸入物価上昇が家計を圧迫するリスクは残ります。積極財政が景気回復を後押しする一方で、財政規律や債務拡大への懸念も無視できません。
米経済は依然として堅調も、無視できない「地政学リスク」
次に、アメリカの状況です。2026年の中間選挙を控え、トランプ政権は経済運営と外交政策の両面で強い主導権を発揮しています。金融政策面では、FRB新議長人事が注目されています。パウエル議長の任期満了を前に、後任候補としてケビン・ハセット氏が有力視されており、市場では金融緩和スタンスの強まりが意識されています。
2025年12月のFOMCでは政策金利が3.5〜3.75%に引き下げられ、3会合連続の利下げとなりました。インフレと雇用のバランスを取る判断ですが、FOMCメンバー間では意見の分裂も見られました。米経済は依然として堅調で、GDP成長率は高水準を維持しています。
一方で、地政学リスクも無視できません。トランプ政権は年初早々、ベネズエラの大統領を拘束するという強硬措置に踏み切り、中南米情勢に緊張が走りました。エネルギー供給や国際関係への影響が意識され、原油市場や金融市場の不安定要因となっています。
政治イベント、金融政策、地政学リスクによる変動性に注意
日米を取り巻く環境を総合すると、2026年は緩やかな回復基調が続く一方で、政治イベントや金融政策、地政学リスクによる変動性が高まりやすい年となりそうです。日本では円安是正と成長戦略の両立、アメリカでは選挙を意識した政策運営が焦点となります。
企業や個人にとっては、先行きの不確実性を前提に、為替・金利変動への備えを怠らない姿勢が重要です。2025年末の情勢を踏まえつつ、2026年は「柔軟性」と「分散」がキーワードとなる一年になるでしょう。
藤田 行生
SBI FXトレード株式会社
代表取締役社長
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