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転倒、骨折、入院…「家に戻れる」はずだったのに
Aさんは80歳です。8年前に5つ年上の夫を見送ったあと、住み慣れた我が家で一人暮らしを続けてきました。年金は月15万円で手元の資産は800万円ほど。決して裕福ではないけれど、慎ましく、そして穏やかに暮らしてきたという自負がありました。
Aさんの楽しみは、月に一度のデパートでの買い物。バスに乗って一人でお出かけします。お気に入りのお菓子を買って、地下の食品売り場で季節のお惣菜を買うのがお決まり。出かけた日は疲れますが、また来月も……と元気の源のように感じていたのです。
ところがある日、出先で転倒し骨折。入院を余儀なくされました。退院後は以前のように歩けず、息切れし、バスでのお出かけもできなくなりました。気持ちも沈みがちになります。
さらに追い打ちをかけるように、風邪をこじらせてしまい、再び入院することに。ようやく退院したAさんが、自宅で過ごしていると、長男から思いがけない話がありました。
「実は母さんが入院中に兄弟で話し合いをしたんだ。最近入院が続いてるし、要介護度も今回上がったし、施設に入ったらどうかな」
いつものように孫の様子を聞かせてくれるものと思っていたAさんは、動揺しました。そして、Aさんは強く拒みます。
「自分の家があるのに、なぜ施設に入らなくちゃいけないの」
その日を境に、遠方に住む次男と長女が、見舞いに来るようになりました。そして、口を揃えていいます。
「お母さん、近くにこんなところがあったよ」「いまはいい施設があるから。プロに任せたほうがいい」
Aさんは困惑しました。反論するたびに、子どもたちの表情が曇っていくのをみて、Aさんは次第に“自分が困らせているのではないか”と思うようになりました。
「私の気持ちはわがままなのかしら……。無理なことをいっているの?」
Aさんはその後、子どもたちからの説得をうけ、入居を決意しました。後押しとなったのは長男の嫁の言葉でした。
「入居したら会いに行きます。ちゃんと医療の知識を持った方がそばにいてくれたほうが、お義母さんのためにもなると思いますし、私たちも安心です」
こうしてAさんは、住み慣れた家を離れ、老人ホームへ入居したのでした。

