おトクな商品を見つけたつもりが、ガッツリ販売会社の手数料に!?…「無料情報ばかりほしがる人」が気づけない、人生の大いなる損失【経済評論家が解説】

おトクな商品を見つけたつもりが、ガッツリ販売会社の手数料に!?…「無料情報ばかりほしがる人」が気づけない、人生の大いなる損失【経済評論家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

おしゃれな服、おいしい食べ物、将来のための金融商品…。これらを「オトクに手に入れたい」と思うのは人情でしょう。しかし、それらをゲットするための情報が「無料」でも、不思議に思わない人が多いのはなぜでしょう。無料情報の向こう側に、さまざまな策略があるかもしれません。とくに金融商品は大変高額なので、十分な注意が必要です。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

売り手に「お勧め商品」を聞くのは危険

洋服を買うときに、洋服屋の店員に「お勧めの商品はありますか?」と聞くことがありますが、実はこれは少し危険かもしれません。「お客様にピッタリです」を翻訳すると「当店の利益率が1番高い商品です」になるかもしれないからです。観光地の食堂などでも同様ですね。

 

まあ、洋服であれば最後は自分の好みで決めるのでしょうし、観光地の食堂で若干割高な特産品を食べたとしても、旅の思い出として割り切ればよいでしょう。しかし、金融商品に関しては「よくわからないから金融機関の窓口で相談し、勧められた商品を素直に購入する」という人が結構いるようで、これは相当危険なことかもしれません。

 

「これが、わが社で1番売れている商品です」と言われると、「みんなが買っているなら、さぞかしよい商品なのだろう」と思いますが、これも翻訳すると「当社の利益率が1番高いので、全力で皆様にお勧めしています。その結果、売り上げナンバーワンになっているのです」ということかもしれません。

 

金融機関の人は、顧客の利益を第一に考えるのが原則ですが、中には金融機関の利益を優先したり、担当者が自分のノルマ達成を優先したりするケースがあるかもしれません。要注意です。

「販売員の顔をしていない販売員」に注意

金融機関の窓口の人に対しては、「利益率の高い商品に誘導されるかもしれない」という警戒心を持つ人も多いでしょうが、販売員の顔をしていない人に対しては警戒心が緩みがちなので、その点も注意が必要です。

 

「あなたにピッタリの保険を、多くの保険会社の多くの商品の中から選んでアドバイスします。無料です」といった宣伝を目にしたことがありますか?「とても親切な会社なので、ぜひ相談してみよう」、と思うかもしれませんが、それは危険です。筆者の好きな「相手の立場で考えて」みましょう。

 

その会社は、どうやって経費をまかなっているのでしょうか。容易に想像が付くのは、顧客が紹介された保険に加入すると、保険会社から「謝礼」が支払われる、ということですね。そうだとすると、顧客に紹介するのは「謝礼」の金額が大きい商品、すなわち保険会社の利益が大きい商品が多くなるはずです。

 

「お客様にピッタリの金融商品をご紹介します。手数料は無料です」というファイナンシャルプランナーもいますが、同じことですね。「金融機関に所属していない独立系のファイナンシャルプランナー」と聞くと警戒心が緩むかもしれませんが、それは危険なのです。

「有料のサービスを利用する」という選択肢

日本人は「情報は無料だ」と考える傾向が強いと言われています。インターネットが普及してからは、特にそうなのでしょう。「情報に対価を支払うなんて、冗談じゃない」という人も多そうです。しかし、「タダほど高いものはない」という言葉もあるので、要注意です。

 

インターネットの情報は玉石混交で、誤ったものも多そうです。それを見分ける能力のない人にとっては、危険でしょう。プロの情報には誤ったものは少ないのでしょうが、上記のように割高なものを優先的に紹介される、といったリスクがあります。

 

そうしたことを考えると、筆者は「情報に対価を支払う」ことに前向きです。少額の対価をケチって大きな損をする愚は避けたいですから。

 

資産運用に関しては、「自分は顧客に商品を売らないでアドバイスをするだけ。そして、アドバイスに対して謝礼をいただく」というファイナンシャルプランナーに相談するのがよいと思います。その思いから、筆者はそうしたファイナンシャルプランナーを支援している「FIWA」という組織の運営を支援しています。筆者の支援は対価なしですが(笑)。

 

筆者は、確定申告を税理士に頼んでいます。税法を自分で調べるのは面倒ですし、調べても「実際に税務署がどこまで経費と認めるのか、感触が掴めない」のですが、税理士は税務署との長年のやりとりの中で感触を得ているはずですから。

 

加えて、調べようとも思わなかった経費が、実際には計上できると税理士に指摘してもらったこともあります。「そんなものが経費で落ちるのですか! ビックリです」というわけです。

 

相続の手続きは、信託銀行に頼みました。その時の担当者の言葉が印象に残っています。「お客様にとっては、一生に一度か二度のことで、色々調べるのは大変でしょう。私は毎日やっていますから、調べる必要はありません。そんな私が、人件費に若干の利益を上乗せして請求させていただいても、安いものだと思いますよ」というのです。納得です。

 

読者諸兄も、病気になれば医者に診てもらうでしょう。自分で医学書を調べることなく、医者の診断という情報に対価を払うわけですね。それと同じで、プロに対価を払って情報を得るほうがよい機会が、ほかにもあるかもしれませんよ。

 

本稿は以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義

経済評論家

 

 

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