公的年金は「2階建て」…1階部分は国民年金、2階部分は厚生年金
日本の年金制度は3階建てだといわれています。1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金で、この2つは公的年金です。公的年金は、加入資格が決まっており、加入するかしないかを選択することはできません。3階部分は生保の年金等の私的年金で、加入するか否かを各自が決めるものです。
国民年金は、基礎年金とも呼ばれます。日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人が全員加入し、年金保険料の払い漏れがなければ老後は毎月7万円強(2026年度)が受け取れる、というものです。
厚生年金は、サラリーマン(サラリーウーマンや公務員等を含む、以下同様)が加入するもので、年金保険料が所得に応じて決められており、支払った保険料に応じて老後に受け取れる年金の金額が決まる、というものです。厚生年金保険料を支払ったことで国民年金保険料も支払ったものと見なしてもらえます。
国民年金の加入者は「3つのグループ」に分けられている
複雑なのは、国民年金の加入者が3つのグループに分けられているということです。
★サラリーマン
厚生年金保険料を支払ったことで国民年金保険料も支払ったものと見なしてもらえます。
★サラリーマンの専業主婦(および主夫、以下同様)
配偶者が厚生年金保険料を支払ったことで自分も国民年金保険料を支払ったものと見なしてもらえます。
★それ以外(自営業者、失業者、学生等々)
自分で国民年金保険料を支払う必要があります。
注意を要するのは、パート等の非正規労働者であっても、一定以上働いて稼ぐと年金制度上はサラリーマンと見なされる、ということです。
サラリーマンの専業主婦は、パートで少し働いても年金保険料を払わずに済みますが、一定以上働くと厚生年金保険料を払う義務が生じるのです。それを嫌って一定以上働かないように気をつけているパート労働者も多いようですが、厚生年金保険料を払っておけば老後に多くの年金が受け取れるのですから、むしろ積極的に厚生年金に加入できるような働き方を選択する、ということも要検討でしょう。
公的年金は「長生き」「インフレ」に対応するありがたい制度
老後資金を考える際のリスクは、長生きしている間にインフレが来て、老後資金が底を突いてしまうことです。その点、公的年金はどれだけ長生きしても支払ってもらえますし、インフレになれば原則としてその分だけ支給額が増えるので、老後資金の非常に心強い柱なのです。
長生きしても支払ってもらえるのは、早死にする人に払わなくてすむ分があるからです。インフレが来たら支給額が増えるのは、現役世代が高齢者を支えるシステムだからです。インフレが来ると現役世代の給料が上がるので、多額の保険料が支払われるようになる、というわけです。
標準的なサラリーマンと専業主婦の夫婦は、老後毎月24万円弱(2026年度)の公的年金が受け取れるので、自宅を持っていて贅沢をしなければ何とか暮らしていけそうです。あとは、老後の蓄えを使ってささやかな贅沢を楽しむ、といった所でしょうか。
自営業者は国民年金だけですから、老後の生活資金としては不足するでしょうが、それでも公的年金が老後資金の最大の柱であることは間違いありません。自営業者には定年がないので、元気な間は現役として稼ぎ、受け取った年金は別に蓄えておくか、年金受け取り開始年齢を遅らせて、老後に受け取る毎月の年金額を増やす、等の対策をすればよいでしょう。
少子高齢化により、年金受給額は減少しそうだが…
現役世代が高齢者を支えるシステムだということは、少子高齢化に弱いという問題があります。年金保険料を払う人が減って、受け取る人が減らないからです。しかし、「今の若い人は将来、年金が受け取れなくなる」ということはありません。専門家のほとんどが、そうした見方を否定しています。せいぜいインフレ率を差し引いた額で現在より2割減る、といったイメージではないでしょうか。
国民年金は、支給額の半分が税金です。厚生年金は保険料の半分を会社が負担してくれます。そこで、どちらも平均寿命まで生きれば得をする計算になっているわけです。それが2割程度減るとしても、それほど深刻に考える必要はなさそうです。
元気な人は、70歳くらいまで働いて生活費を稼ぎ、年金受け取り開始を70歳まで待てば、毎月の受取額が42%増えます。それなら、年金が2割程度減ったとしても、大丈夫でしょう。
筆者の認識は以下の通りです。「総理大臣は、ほかの予算を削ってでも万難を廃して年金だけは払うだろう。そうしなければ、高齢者の生活保護申請が激増して財政が破綻してしまうから」。
サラリーマンは年金保険料の払い漏れはなさそうですが、自営業者は公的年金の重要性をしっかり認識して、払い漏れのないようにしたいものですね。
本稿は以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
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塚崎 公義
経済評論家
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