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「最後の教育」とは
通常、Aさんに万一のことがあると、Aさんの財産は唯一の相続人である息子がすべて受け継ぐことになります。しかし、Aさんは「もうなにも残さない」と決めました。
弁護士に相談したAさんがとった法的手続きは、単なる「遺言書の書き換え」だけではありませんでした。単に「息子には相続させない」と遺言を書いても、子には最低限の遺産を受け取る権利である「遺留分」があり、完全に0円にすることは難しいからです。
Aさんが選んだのは、「推定相続人の廃除」でした。
(遺留分侵害額の請求)第1046条
遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
(推定相続人の廃除)第892条
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
息子からの「金銭の強要」や「精神的な虐待(重大な侮辱)」を理由に、家庭裁判所へ相続人の廃除を請求し、戸籍上の相続権そのものを剥奪する手続きです。
親子の縁とお金の問題を法的に断ち切る、「遺産0円」の遺言書。 Aさんがその手続きを完了させたのは、彼女が亡くなるわずか3日前のことでした。
8050問題に発展する前に
高齢の親が中高年の子どもを支える「8050問題」が深刻化しています。Aさん親子のように、些細なきっかけから親子関係が歪んでしまうケースは、決して珍しいことではありません。甘やかしたつもりはなくても、就職の失敗や社会への不適応をきっかけに、家族全体が孤立してしまうことがあります。
厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上の者がいる世帯のうち、「配偶者のいない子と同居」している割合は25.9%に上ります。家族だけで抱え込まず、ボタンの掛け違いが修復不可能になる前に、早めに公的機関や専門家に相談することが必要です。
〈参考〉
民法
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-Pa_5-Ch_9-At_1046
厚生労働省:2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa23/dl/02.pdf
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
共同代表
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