米雇用統計公表…予想上回る雇用増も失業率は悪化
米政府機関の閉鎖に伴い、発表が先送りされていた11月と10月の一部雇用統計が公表され、11月の非農業部門雇用者数は前月差+6.4万人と市場予想を上回ったものの、10月は同▲10.5万人となりました(図表4)。
もっとも、10月の雇用の減少のほとんどがDOGE(政府効率化省)の退職延期プログラム(*)の影響によるものとみられ、政府部門が前月差▲15.7万人となる一方で、民間部門は前月差+5.2万人となっており、労働市場の実勢はヘッドラインが示唆するほど悪化していません。
(*)早期退職プログラムは9月末まで給料を受け取れるため、同期間までは雇用者として扱われるが、10月には雇用契約が終了する
また、11月の失業率は4.56%と9月の4.44%(10月の失業率は米政府機関閉鎖の影響で公表中止)から上昇しました。公表元によると、政府閉鎖の影響で欠損した10月分のデータを補うために算定方法の一部に調整が加えられたことで、通常よりも標準誤差が若干高くなっていると説明されています。
11月の失業率は過大推計されているとの見方もあるため、次回12月の雇用統計において失業率がどの程度修正されるか注目されます。
先週の12月FOMCで利下げが決定された背景には、こうした不確実性や雇用情勢の悪化を未然に防ぐ意味合いもあったことから、今回の結果が短期的な追加利下げを促すほど弱いものではないと考えられます。

