「誰かに妬まれない安心」
玲子さんが“隠す”ようになったのは、過去のある出来事がきっかけでした。
「以前、同じ町内の奥さんが“都内にマンションを持っている”って話をしていたら、突然、周囲から距離を置かれるようになって。誰もはっきりは言わないけど、“あの人お金あるんでしょ”って…。見ていて怖くなったんです」
それ以来、玲子さんは意識的に「地味に」「お金がないように」振る舞うようになりました。夫にも「服はバーゲンで買って」と伝え、外食時には「セットメニューで十分」と笑いながら注文するようにしているといいます。
現代の高齢者像は一様ではありません。総務省『家計調査(2024年)』によると、「高齢夫婦無職世帯」の平均支出は月25.6万円、可処分所得は月22.2万円であり、多くの高齢者が赤字を抱えて生活している現実があります。
しかし一方で、玲子さんのように「資産があっても、見せない」「むしろ“節約生活のフリ”をして暮らす」高齢者も少なくありません。
「ただ、波風立てたくないだけ。静かに、周りと同じように暮らしたいだけなんです」
玲子さんはそう微笑みます。
「どのように他人と関わりたいか」も、老後のライフスタイルを左右するひとつのポイント。豊かさを誇るより、静かに隠す“上品な老後”もまた、ひとつの選択肢なのかもしれません。
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