「家賃収入があることも、誰にも言っていません」
都内在住の主婦・三浦玲子さん(67歳・仮名)。家賃収入だけで月40万円、持ち家・無借金、さらに退職金と金融資産もあるにもかかわらず、玲子さんは日々、あえて“質素な生活”を選んでいます。
「贅沢しているように思われたくないのよ」
玲子さんは、10年前に夫とともに都内の一等地にある実家を相続。自宅以外にも、夫名義で購入していた賃貸用マンションが3戸あり、現在も入居者がいて毎月40万円前後の家賃収入があります。夫の厚生年金(年額約280万円)に加え、自身にも基礎年金と少額の企業年金があり、世帯収入は年800万円以上。
それでも、玲子さんは普段、手頃な価格の衣料品を選び、外食も月に一度のランチ程度にとどめています。
「近所の人たち、みんな年金だけで暮らしているのよ。“XXさん、最近高そうなバッグ持っているわよね”とか、すぐ言われるから。ブランド物なんてとんでもない」
そう話す玲子さんのバッグは、10年以上前に購入したナイロン製のものでした。
玲子さんが特に気を遣っているのは、町内会や友人関係との距離感です。
「家賃収入があることも、誰にも言っていません。お金があるって思われると、“旅行連れてって”とか、“奢ってくれるんでしょ”って、冗談でも言われるのが苦手で」
年金だけで暮らしている高齢者と、資産を保有している層が同じ地域に混在する中で、所得格差が“人間関係のストレス”につながることは実際によくあります。 “妬まれる・浮く”ことへの警戒心が強く、つつましさを演出する場合もあります。
