(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では、相続財産が4800万円を超えると相続税が課せられ、最高税率は55%にも達します。かつては外国人であっても日本に住んでいれば、母国の財産にまで課税が及ぶ制度でした。こうした仕組みは国際的な批判を呼び、改正を重ねて現在の形に至りましたが、「死後までも課税する国」という印象は今も根強く残っています。富の再分配を目的とする制度が、果たして公平と言えるのでしょうか。

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相続税、4800万円を超えると55%の重税

日本では、相続財産が4800万円を超えると相続税が課せられ、その最高税率は55%にもなります。

 

すでに所得税や消費税を支払った財産に、再び課税されることから「二重課税ではないか」との批判も少なくありません。とりわけ、外国人にも広く課されていた時代には、日本の税制度が国際的な非難の的となっていました。

外国人にも及んだ“日本の税の手”

かつては、外国籍であっても日本に住んでいれば、国籍を問わず日本の相続税が適用されました。

 

亡くなった人が日本に住所を持っていれば、その母国にある財産や、母国に住む家族の財産にまで課税が及んだのです。

 

一時的な就労で滞在しているだけの外国人にも、海外資産への課税が行われる――そんな理不尽な状況が生まれていました。

 

当然ながら、高度外国人材は日本で働くことを避けるようになりました。日本の税制が、優秀な人材を自ら遠ざけていたのです。

平成29年度改正と“5年ルール”の落とし穴

こうした問題を受けて、平成29年度の税制改正では、一時的に滞在している外国人については、日本国内の財産のみを相続税の対象とする見直しが行われました。

 

しかしその後、「日本に10年以上滞在した外国人が出国後5年以内に死亡した場合」には、国外財産にも課税されるという“5年ルール”が新設されたのです。

 

例えば、アメリカ人が日本で10年以上働いた後に帰国し、5年以内に亡くなった場合、アメリカにある財産にまで日本の相続税がかかることになります。

 

この制度には、海外から「過剰な課税」「二重課税の危険」といった批判が相次ぎました。

ようやく是正された“常識的な改正”

強い国際的反発を受け、ようやく制度が見直されました。現在では、外国人が日本国外で亡くなった場合には、滞在期間や帰国後の年数にかかわらず、日本国内の財産のみに相続税が課せられることになっています。

 

ようやく、国際的に見ても常識的な制度へと近づいたといえるでしょう。

世界でも異例の「死後の課税」

とはいえ、国外に住む外国人の財産にまで相続税を課した国は、日本以外にほとんどありません。

 

すでに課税済みの財産に再び税をかける仕組みは、富裕層を追い詰め、死後までも税の手を伸ばすものです。「死後も課税される国」――この表現が、日本の税制を象徴しているように思えてなりません。

税の公平と国の魅力をどう両立させるか

アメリカのトランプ大統領も、かつて「相続税は廃止すべきだ」と主張しました。富の再分配という理想は理解できますが、それが“懲罰的な課税”になってしまえば本末転倒です。

 

今、問われているのは単なる税の公平ではありません。国際社会の中で、日本がどのような価値観を持ち、人材と資本を受け入れる国であるかという姿勢そのものです。

 

課税の名のもとに、未来の可能性までも締め出すことがないように――。税のあり方をもう一度、根本から見つめ直す時期に来ているのではないでしょうか。

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

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