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富裕税提案の背景にトランプ政権の医療費削減
今回の新税法案は、トランプ政権が議会で可決した「One Big Beautiful Bill(OBBB)」によるメディケイド(Medicaid)予算の大幅削減を補うために提案されました。
OBBBは、低所得者や障がい者などを対象とする医療保険制度の予算を今後10年で1兆ドル削減する内容であり、約7000万人が影響を受ける見込みです。多くの病院が経営難に陥ると予測されています。
対象はわずか255人、富裕層の州外流出も懸念
カリフォルニア州には、この新税の対象となるビリオネアが255人いるとされ、これは全米の22%にあたります。2位のニューヨーク州(200人)、3位のテキサス州(100人)を大きく上回ります。
ニューサム州知事は「この法案が通れば、車や家、一輪車まで課税されるようになる」として反対を表明しています。
一方で、民主党系の州では富裕税が広がる傾向にあり、ニューヨーク市ではマムダニ市長が年収100万ドル(約1億5,000万円)以上の市民に2%の追加課税を提案。マサチューセッツ州では2022年に年収100万ドル超の住民に対して4%の追加税を課す制度が可決されました。
富裕層の税負担、依然として日本より低水準
アメリカでは富裕層の税負担率が依然として低く、日本では年収4,000万円(約27万ドル)を超えると税率が55%となります。これはアメリカでは中低所得層に相当する水準です。
カリフォルニア州ではすでに2024年に州所得税の最高税率が13.3%から14.4%に引き上げられ、全米で最も高い水準になっています。州の税務機関であるFranchise Tax Board(FTB)はIRS(内国歳入庁)よりも厳格とされますが、特に未公開株などの資産評価は難しく、納税者との間で評価額を巡る対立が懸念されています。
過去にも否決された富裕税…今度こそ実現なるか
カリフォルニア州では2020年にも、純資産300万ドル(約3.3億円)以上を対象にした0.4%の富裕税と最高税率16.8%の引き上げ案が住民投票にかけられましたが、いずれも否決されています。
今回は対象をわずか255人に限定し、「一度限り(One Time Only)」の課税であることが特徴です。
法案を成立させるためには、まず来年4月までに87万4,641筆の署名を集める必要があります。その後、中間選挙で過半数の賛成を得れば成立します。訴訟リスクも指摘されていますが、ロサンゼルス市では2023年に500万ドル(約7億円)超の不動産売却に4%(1,000万ドル超は5.5%)の追加課税を課す条例が可決されており、富裕層課税への抵抗が薄れているとも言われます。
富裕層の“脱カリフォルニア”は進行中か
新税案では、2026年1月1日時点でカリフォルニア州に居住している者を課税対象とし、同年12月31日時点の全資産に対して課税が行われる仕組みです。そのため、すでに一部の富裕層は他州へ移住、または一時的に避難している可能性も指摘されています。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
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