(※写真はイメージです/PIXTA)

日本ではこの十数年間、富裕層や中間層への税負担が増し、相続税や贈与税を取り巻く環境が大きく変化してきました。相続税はもはや富裕層だけの税ではなく、一般家庭にも深く入り込んでいます。さらに2026年度税制では、不動産を活用した節税スキームへの規制強化が検討されており、「富裕層のみならず中間層まで標的にしているのではないか」との声も出ています。日本の重税化の現状と、欧米との考え方の違いを踏まえて課題を整理します。

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一般家庭にも広がる相続税負担の現実

日本の富裕層のなかには、現在の税制の動向を見て「いっそ国外に出たい」と感じる方がいても不思議ではありません。この十数年間で所得税や相続・贈与税の負担は確実に増し、利用できる節税制度も次々に制限されてきました。

 

相続税については、もはや富裕層だけが対象とは言えない状況です。相続財産が4,800万円を超えると課税されますが、生命保険金が5,000万円に上るサラリーマン家庭も珍しくありません。持ち家があれば、さらに課税対象となる可能性が高まります。

 

逆に言えば、4,800万円の財産すら残せないのであれば、「どれほど厳しい生活を送ってきたのか」と思わざるを得ないほどです。一般家庭まで巻き込む相続税の一方で、富裕層にはさらなる税負担強化が求められています。

政府税調が問題視する「貸付用不動産」の節税策

来年度税制の議論に向けて開かれた政府税制調査会の専門家会合では、財産評価基本通達をめぐる課題が主要テーマとなりました。

 

ここでは「一棟所有の賃貸用マンションや、不動産小口化商品を利用した節税スキームが散見され、個別対応が避けられない」と指摘されています。

 

貸付用不動産は、稼働率が高ければ市場価格も高くなる傾向があります。しかし相続税評価(通達評価)では、借家人の支配権などの制約が考慮されるため、賃貸割合が高いほど評価額が低くなります。このため、市場価格と相続税評価額の乖離が数倍にも広がるケースが生じているのです。

一棟所有と小口化商品が狙い撃ちに

たとえば、10億円で購入した一棟アパートの相続税評価額は、おおむね3億円前後に落ち着きます。また、10億円のビルを100口に分割し、1口1,000万円で販売される不動産小口化商品では、相続税評価額は300万円程度となります。

 

一棟所有は超富裕層の相続税対策、小口化商品は中間層から上位層の資産防衛手段として利用されてきました。しかし、来年度の税制ではこれらが規制される方向です。

 

結果として、富裕層のみならず、ある程度資産を持つ中間層も影響を受ける可能性が高まっています。

広がる“富裕層包囲網”、中間層も標的に?

低所得層の節税策は比較的認められる一方、富裕層や中間層の節税策は「不公平」という批判によって規制が強化されやすい傾向があります。

 

国税当局は「富裕層撲滅運動」を進めているかのようで、ついには中間層にまで照準が広がっているとの見方もあります。

 

このままでは、「将来、日本は貧しい国民ばかりの社会になってしまうのではないか」という不安が生まれます。富裕層や中間層に対する徹底的な課税強化は、結果として国全体の活力低下につながりかねません。

米国との相続税観の違いが示すもの

一方アメリカでは、トランプ大統領が相続税の基礎控除を一人1,500万ドル(約23億円)、夫婦で3,000万ドル(約46億円)に引き上げる考えを示しています。日本の4,800万円と比べると、桁が違います。

 

仮に日本がアメリカ型の相続税制度を導入すれば、相続税を納める人は年間でほとんどいなくなると考えられます。

 

欧米では「生前に働いて得た財産はすでに所得税・住民税で課税済みであり、死亡時に再度課税するのは二重課税である」という考え方が主流です。そのため、トランプ案に対して議会やメディアから大きな批判が起こることはありません。

 

これが日本であれば、野党やメディアが「金持ち優遇税制」として一斉に批判することは容易に想像できます。

日本経済の担い手を冷遇するリスク

GDPが低迷する中、日本経済を支えてきた人々に過度な税負担を課し、遺族にまで重い責任を負わせる現状には、国力の低下を招く危険があります。

 

富裕層や中間層の資産形成を否定するのではなく、むしろ国全体の豊かさをどう維持・発展させるかという視点が求められているのではないでしょうか。

 

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

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