世界的株高はまだ続くのかそれとも!?=関税の最高裁判決も要注意
円安が日本からの資本流出による影響が大きいなら、海外からそれを上回る資本流出が起こることで、たとえば米ドル安の結果として円高の流れに変わるといった視点もあるでしょう。米国が主導した世界的な株高は、11月に入り一時株安へ転換した可能性が浮上しました。ただすでに見てきたように12月FOMC利下げの可能性や、トランプ大統領が「ハト派」の次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長を指名する可能性などへの期待をおもな手掛かりにその後は再び反発の兆しも見せています[図表6]。
NYダウに対するナスダック総合指数の相対株価は、すでに2000年ITバブル以上の割高になるなど、世界的株高が「バブル」の可能性を示す指標もあります[図表7]。そういった中でも米利下げ期待などを手掛かりに株高はまだ続くのか。トランプ大統領の関税政策に対する最高裁判決が「違憲」となることなどをきっかけに、ついに「バブル破裂」に向かうようなら、それを受けた米ドル急落で円安から円高へ転換する可能性はあるでしょう。
例年以上に波乱含みの12月=予想レンジは150~160円
以上のように見ると、今回の12月は例年以上に波乱含みの可能性があるのではないでしょうか。日本版「トラス・ショック」は回避できるか、世界的株高の「バブル」はまだ続くのか、それともついに「バブル破裂」が始まるか。そういった視点のなかで、12月の米ドル/円は150~160円で予想します。
今週の米ドル/円の予想レンジは154~158円
12月第1週は、5日の11月米雇用統計発表は16日に先送りされたものの、ISM(米供給管理協会)関連など11月の経済指標発表が始まります。また、「シャットダウン」で遅れていた経済指標の発表も再開されることから、足下10~12月期の米景気を見極めていくことになるでしょう。
トランプ大統領の関税政策に対する最高裁判決など突発的な要因がなければ、前週までの円売りポジション手仕舞いが米ドル/円の上値を抑える展開が続きそうなので、12月第1週の米ドル/円は154~158円で予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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