プライベートバンカーの使命と責務
プライベートバンカーは、顧客本位の姿勢で資産や事業のさまざまな課題に取り組みます。企業オーナーや創業家一族のニーズに応え、外部の専門家と連携しながら高度な提案を行い、長期にわたるフォローを続けることが期待されます。
これらの姿勢は、職業行為基準に明確に定められており、違反した場合にはサービス停止や資格登録の抹消といった懲戒処分を受ける可能性があります。
法令遵守と業務上の制約
■ 税理士法・弁護士法による禁止事項
プライベートバンカーには、士業の独占業務に該当する行為を行ってはならないという原則があります。
税理士法の制約
税務代理、税務書類の作成、税務相談は税理士の独占業務です。そのため、具体的な資産内容に基づく相続税額の計算などは行ってはなりません。一般的な税制情報の提供や制度の説明に限って対応が認められます。
弁護士法の制約
弁護士以外が、報酬を目的として法律事務を行うことは禁じられています。契約内容の法的判断や紛争対応などは取り扱うことができません。
職業行為基準に違反した場合の懲戒制度
職業行為基準に違反した場合には、「プライベートバンキング職業倫理等審査委員会」が調査・審査を行い、必要に応じて懲戒処分を行います。
処分内容には以下が含まれます。
・口頭・文書での注意
・権利・優遇措置の停止
・資格登録の抹消
登録が抹消された場合は、書面により本人へ通知され、氏名と処分理由が協会のウェブサイト上で公示されます。
プライベートバンカーに求められる2つの基本的な義務
プライベートバンカーには、信任を受ける立場として次の2つの義務が求められます。
・忠実義務:顧客の利益を優先し、自己や第三者の利益を先に置かないこと
・善管注意義務:専門家として相応の注意と配慮をもって業務を行うこと
この2つの義務が、日常業務における倫理的な行動の基盤となります。
プライベートバンカーの「7つの基準」
プライベートバンカーの「7つの基準」を以下に示します。
1 顧客への最善のアドバイス提供
顧客の利益を第一に考え、公正で客観的なアドバイスを提供することが求められます。忠実義務と注意義務を具体化した基準です。
2 利益相反の排除
自己や第三者の利益が顧客の利益と相反する状態を避けなければなりません。
報酬や紹介料は顧客へ開示する義務があり、自身が保有する銘柄の推奨や顧客の取引相手になる行為は原則禁止されています。
3 専門家としての能力の維持・向上
継続的に知識やスキルを磨き、誠実に職務を遂行する姿勢が求められます。
4 顧客の秘密保持
顧客の財産・事業・家族に関する情報を外部へ漏らすことは厳しく禁じられています。
5 投資の適合性の確認
顧客の財務状況や投資目的を的確に把握し、適切な商品やサービスを提案する必要があります。
6 不実表示の禁止
提供できるサービスや資格に関して、誤解を与える説明や不正確な表示をしてはなりません。
7 資格・認可を要する業務に関する制約
必要な資格や認可を持たずに、独占業務に該当する行為を行うことは禁止されています。
まとめ ― 信頼は日々の行動から築かれる
プライベートバンカーは、顧客の資産や人生設計に深く関わる専門家として、高い倫理観と責任感が求められます。
7つの基準と法令遵守を徹底することが、顧客との揺るぎない信頼関係を築き、長期的な価値提供につながるのです。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
★プライベートバンキングの職業倫理と行為基準についてはこちらをチェック!
【プライベートバンカー(PB)試験対策】資産運用のプロが守るべき職業行為基準!職業倫理が顧客との信頼構築の秘訣
★ファイナンシャルプランナーの職業倫理についてはこちらをチェック!
「ファイナンシャル・プランナー(FP)の職業倫理」顧客利益・守秘義務・説明義務・同意・法令遵守
★相続税の納税資金についてはこちらをチェック!
【プライベートバンカー(PB)試験対策】相続税の納税資金準備を解説!生命保険から自己株式取得まで!
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
