(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親と中高年の子が同居する「親子ふたり暮らし」の世帯。経済的な事情や介護への備えから同居を選ぶ家庭もある一方で、日常の些細な衝突や精神的な負担が積み重なり、「距離を取る」決断に至るケースも少なくありません。

別居後も「娘としてできること」はある

数週間悩んだ末、理恵さんは母にこう切り出しました。

 

「お母さん、お願い。もう一緒に住むのは限界なの。近くに部屋を借りて、通える距離にいるから…週末も来るから…」

 

最初、母は動揺し、「私を見捨てるの?」と問い詰めてきたといいます。しかし数日後、「あんたが体壊したら、私が一番困るからね」とぽつりと呟いたのが、別居を後押しする最後の一言になりました。

 

現在、理恵さんは実家から30分圏内の賃貸マンションでひとり暮らしを始め、週末には必ず母のもとを訪れています。買い物や掃除をまとめて行い、母が通う地域包括支援センターとも連携を取りながら、将来的な介護に備えています。

 

高齢の親を支える子世代にとって、「同居」は最も直接的な支援のかたちに見えます。しかし、精神的・身体的な余裕がなければ、その生活は破綻しかねません。親との関係を良好に保つためにこそ、物理的な距離を取るという選択肢も、現代の“親子のかたち”として認められるべき時代に来ているのではないでしょうか。

 

親を思う気持ちがあるからこそ、一緒に暮らし続けることがすべてではない――そう決断した理恵さんの選択は、多くの人の共感を呼ぶものかもしれません。

 

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