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苦渋の決断…マイホームを捨て、都営団地へ
持ち家を維持するには、修繕費だけでなく、固定資産税や火災保険料も毎年かかります。ここで250万円を払っても、この先の維持費を考えるとマイホームを維持していくのは困難でした。
悩んだ末、吉田さん夫婦は「家を手放して安い賃貸に移る」という苦渋の決断をします。幸い、自宅の売却では諸費用を差し引いても600万円近くのお金が手元に残りました。
そして2人が応募し、幸運にも当選したのは、築年数の古い都営の1DK住宅でした。家賃は2人の所得(所得金額年252万円、都営住宅の一般所得層に該当)に応じた金額で、5万円ほどです。広々とした4LDKからコンパクトな1DKへの引っ越しは、精神的にも大きな変化でしたが、生活は安定しました。ゆったりと暮らせた我が家を手離し、狭い部屋でできるだけお金を使わないように生活していくことにしたのです。
「あんなに苦労してきたのに。マイホームなんていらなかったな」吉田さんは悔し涙を流します。
マイホーム購入時には一生の家計をみえる化する
吉田さん夫婦のように、マイホームの維持費が老後の家計を圧迫するケースは少なくありません。持ち家には外壁・屋根などの修繕費、キッチンや給湯器などの設備交換費、固定資産税や火災保険料が掛かりつづけます。光熱費もアパートやマンションの一室に暮らす場合と比較して高額になりがちです。
国土交通省 第2回「既存住宅市場の整備・活性化懇談会」配布資料によると、木造住宅100平米あたりのライフサイクルコストは、30年で1,000万円、60年では2,000万円程度にもなると推計されています。購入価格だけでなく、これらの維持費も準備しておく必要があったのです。
よく「賃貸と持ち家どちらが得か?」という比較がありますが、一般的にはこれらの「ライフサイクルコスト」を考えると損得勘定ではやや賃貸に分があります。家族環境の変化や将来転職を考えた場合などを考慮すると、そういった柔軟性という意味でも賃貸のほうが柔軟に対応することができるといえるでしょう。そのため、「家賃を払うよりも……」という損得勘定だけでマイホームを買うことはお勧めしません。
持ち家を望むのならば、将来設計や経済的な面も含め、「なにが家族にとっての幸せなのか?」という視点が重要です。
先々の家計のことを考えずに住宅を購入した家庭のなかには、吉田さん夫婦のように老後資金を準備できない状態に陥る人も多いものです。
もし、旅行を楽しみたい、趣味にお金を使いたい等、マイホーム購入より優先順位が高いことがあれば、家の維持費で家計が逼迫し、本当に大事にしたいことにお金を使えなくなってしまいます。
だからこそ、マイホーム購入を検討する際は、一生の家計をみえる化し、無理せずローンを完済できるか、そして将来的な住宅の維持費も残しておけるかを計画することが大事です。持ち家は“資産”ですが、ときには「負動産」とも呼ばれる、コストが価値を上回るものにもなり得ます。人生最大の買い物だからこそ、老後までを見据えた資金計画が不可欠です。
小川 洋平
FP相談ねっと
ファイナンシャルプランナー
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