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世界の最貧国
2024年の世界の最貧国ランキング上位10ヵ国のうち、中東のイエメンを除く9ヵ国がアフリカ諸国です。
アフリカには50ヵ国以上の国がありますが、このランキングから、経済的に困難な状況にある国が多いことがわかります。
アフリカ諸国の相続税
アフリカ諸国のうち、相続税を施行している国は7ヵ国あります。経済的困窮と相続税の存在は一見対照的ですが、相続税を導入している国は、アンゴラ、ガボン、カメルーン、ジンバブエ、チュニジア、マダガスカル、南アフリカです。このうち、前述の最貧国ランキング上位10ヵ国に含まれるのは、第6位のマダガスカルのみです。
マダガスカルの相続税
マダガスカルは最貧国ランキング第6位ですが、相続税が存在しています。同国はかつてフランス領であったため、その税制にフランスの影響があると考えられますが、導入の経緯については明らかではありません。相続税は2022年7月25日以降、徴収が停止されています。税率は5%です。
ガボンの相続税
ガボンは旧フランス領で、1960年に独立した大西洋沿岸の国です。課税方式は「遺産取得課税方式」を採用しており、配偶者、親、子への相続については免税となっています。被相続人または贈与者がガボン国民、あるいは相続時にガボンに住所を有する場合には、全世界の財産が課税対象となります。税率は累進税率です。
チュニジアの相続税
チュニジアは地中海に面した旧フランス領の国であり、相続税は「遺産取得課税方式」により課税されています。同国の居住者からの相続については、国内外のすべての財産が課税対象です。ただし、国外財産がその所在地国で課税されている場合には、チュニジアで免税となります。
居住者の判定は、相続発生前の365日のうち183日以上同国内に滞在しているかどうかで行われます。
控除額は、配偶者および子の場合5,000チュニジア・ディナール、障害のある扶養者の場合は1万チュニジア・ディナールです。税率は、直系尊属および卑属が2.5%、兄弟が5%、叔父・叔母が25%、その他の者が35%となっています。
南アフリカの相続税
アフリカ諸国のなかで最も経済的に発展しているのは南アフリカです。
世界のGDPランキング上位50ヵ国のうち、アフリカでランクインしているのは南アフリカ(40位)、エジプト(43位)、アルジェリア(50位)の3ヵ国のみです。南アフリカはかつて英国の海外領土であったことから、英国の税制の影響を受けています。
(1)納税義務者
通常の居住者(ordinarily resident)である被相続人の遺産に対して遺産税が課されます。被相続人が通常の居住者でない場合には、国内所在財産のみが課税対象となります。
(2)人的控除
基礎控除額は350万南アフリカ・ランド(ZAR)です。
(3)税率
税率は20%ですが、2018年3月1日以降、3,000万ZARを超える部分については25%の税率が適用されています。
アフリカの相続税の概観
アフリカ諸国の税制の多くは、旧宗主国の税制の影響を受けています。相続税のみならず、法人税や所得税についても制度は整備されていますが、法の遵守が十分でない場合も多く、法律通りに運用されていないことがあります。そのため、直接税による税収確保が難しく、課税が比較的容易な関税や間接税に依存する傾向が見られるのが実情です。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
