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南米諸国の概要
アフリカの国数が58ヵ国と多いのに比べ、南米は以下の12ヵ国で構成されています。
アルゼンチン
ウルグアイ
エクアドル
ガイアナ
スリナム
コロンビア
チリ
パラグアイ
ブラジル
ベネズエラ
ペルー
ボリビア
広く「中南米」と呼ぶ場合には、中米諸国やカリブ海地域に所在するタックスヘイブンも含まれます。また、南米にはフランスの海外県である仏領ギアナもあります。
GDP世界ランキング(2025年)では、ブラジルが10位、アルゼンチン24位、コロンビア38位、チリ44位、ペルー48位、エクアドル64位、ベネズエラ70位、ウルグアイ82位、ボリビア89位、パラグアイ99位、ガイアナ118位、スリナム158位です。
相続税のある国
南米で相続税が課される国は、以下の7ヵ国です。
アルゼンチン(地方税)
ウルグアイ(相続・贈与財産の移転に課税)
コロンビア(キャピタルゲイン税で代用)
チリ
ブラジル(州税)
ベネズエラ
ボリビア
ブラジルの相続税
(1)所得税の納税義務者と課税所得の範囲
ブラジルの所得税は、国籍を問わずブラジルに居住する個人(居住者)が対象です。居住者は全世界所得に対して課税されます。個人がブラジル居住者と雇用関係を持つ場合は、入国日から居住者として扱われます。
雇用関係がない場合は、入国日から起算して183日を超えて滞在した場合に居住者とみなされます。永住査証を持つ者や、いずれか12ヵ月間に183日を超えて滞在する外国人も居住者となります。
居住者の課税対象は、国内外の資本や労働から得られる所得、年金などすべてです。
(2)所得税の税率
所得税の最高税率は27.5%で、その年の1月1日から12月31日までの年間所得に対して課税されます。
(3)相続税・贈与税の概要
ブラジルは26の州と政府直轄区で構成されています。相続税・贈与税は州税であり、州ごとに税率や制度が異なります。すべての州で相続税が課されています。
(4)相続税・贈与税の納税義務者
相続人や受贈者が納税義務者となります。外国居住者に特別な規定はありません。
(5)相続税・贈与税の税率例
主な州の税率は以下の通りです。
サンパウロ州:相続税・贈与税ともに4%
南米各国の相続税概要
ブラジル以外の国の相続税制度は以下の通りです。
アルゼンチン:国税ではなく地方税(ブエノスアイレス州など)として遺産取得税方式を採用。税率6%~9%。
エクアドル:遺産取得税方式で、相続税・贈与税の最高税率は35%。
コロンビア:相続税・贈与税は設けず、キャピタルゲイン税(税率10%)で代用。
チリ:遺産税方式。税率0~35%で、被相続人との関係により異なる。
ベネズエラ:遺産取得税方式。配偶者・子弟の場合は1%~25%。その他は被相続人・贈与者との関係で変動。
ボリビア:遺産取得税方式。被相続人・受贈者との関係により税率1%~20%。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
