投資信託は“途中でやめると損”になることも
一般的に、NISAやiDeCoといった非課税制度を活用した投資信託は、長期での運用を前提に設計された商品が多く、数年単位で「評価損益」が上下するのは当然です。
金融庁の調査でも、積立投資を20年続けた場合の元本割れリスクは1%未満というデータがあり、短期での売却は「損切り」につながる可能性があります。
また、相続時にNISA口座の非課税枠は消失するものの、特定口座などへ移管すれば運用を継続できます。金融商品に理解のある相続人であれば、「そのまま持ち続ける」選択も視野に入るはずです。
奈央さんは今、「もう少し勉強しておけばよかった」と振り返ります。
「父が何を思って積立をしていたのか、ちゃんと知っていれば…売るなんて発想にはならなかったかもしれません」
「金融資産の相続」と聞くと構えてしまいがちですが、元々が長期投資前提の商品であれば、「知らないからすぐ売る」ではなく、時間をかけて中身を調べてから判断することが、結果的に資産を守ることに繋がるのです。
高齢化社会の進展に伴い、今後20年で数百兆円規模の「資産の大移転」が起きるとも言われています。その中には、NISAやiDeCoを活用して投資を行っていた高齢者の金融商品も含まれます。
相続人が最低限の知識を持ち、“親の資産”を適切に判断できるか――それが「親の想いを活かすか」「資産を失うか」の分かれ道になる時代が、すでに始まっています。
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