返金請求の難しさと“貸し借り”の曖昧さ
佳代さんが法テラスの無料相談で受けた説明によれば、「返済の約束を書面や録音で残していない場合、法的に『贈与』とみなされる可能性がある」とのこと。金額ややり取りの内容からして、民事訴訟を起こしても回収できる見込みは薄いという現実も突きつけられました。
SNSや趣味仲間との金銭のやり取りは、非常に曖昧な合意に基づいていることが多く、立証が困難です。“信頼関係”が前提の世界だからこそ、金銭は明確な記録と期限を伴う“貸付”として取り扱う必要があります。
「一番の後悔は、推しを応援するために出会った人と、こんな気持ちで終わったことです」
佳代さんはそう語ります。アイドルに対する熱が冷めたわけではないものの、SNSで新しいファン友達を作ろうという気持ちは薄れたといいます。
「何より、他の人に対して“疑う目”を持ってしまった自分が悲しいです。だけど、また同じことを繰り返さないためには、距離の取り方も考えなければいけないと思いました」
いまや「推し活」は、年齢や性別を超えて多くの人に広がる文化となりました。一方で、SNSでの人間関係は、リアルよりも“距離の近さ”が急速に進むため、トラブルも起きやすくなっています。
小さな立て替えも、続けば大きな金額になります。そして“友情”や“善意”を前提にした関係では、お金の話がしにくくなる構造もあります。
佳代さんは最後に、こう語ってくれました。
「推し活って、本来すごく楽しいはずのもの。でも“誰とどう楽しむか”を考えないと、心に大きな傷を残すこともある――そういうことも知ってもらえたらと思います」
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
