「この人となら、一緒に“推し”を応援できると思った」
都内在住の松岡佳代さん(仮名・56歳)は、若い頃から芸能好きで、近年はとある外国のアイドルグループの熱心なファンとして、Xでファンアカウントを運営していました。
そんな彼女が“推し活友達”のAさん(40代後半女性)と知り合ったのは、アイドルの来日公演の情報をリポストし合っていたことがきっかけ。
「会ったこともないのに、感覚がすごく合って。『この人となら一緒に現場を回れるかも』と思ったんです」
最初はDMのやりとりから始まり、オンラインで語るうちに打ち解け、数ヵ月後には一緒にライブにも行くようになりました。
転機は、Aさんからのこんなメッセージでした。
「ちょっと今月きつくて…限定グッズ、代わりに買ってもらえない?」
2万円ほどの商品でしたが、佳代さんは迷いなく応じました。その後も「現場遠征のホテルが取れない」「うっかり交通費を忘れていて」などと連絡が続き、少額ずつ立て替えるように。
「気づけば毎月1〜2回、数万円単位のやり取りが続いていて…。でも、Aさんもファンとして本気で“推し”を応援していたし、『お金のことで関係を壊したくない』という気持ちの方が強かったんです」
そして半年後、累計の送金額は110万円に達していました。
「あとで必ず返すから」という言葉を信じていた佳代さんでしたが、次第にAさんからの連絡頻度が減り始めます。
「こっちが『最近どう?』と聞かないと、全然返信が来ない。推しの話もなくなって、何かが崩れた感じがありました」
やがてLINEは未読スルーに、Xのアカウントもフォローが外され鍵がかかり、送金記録だけが佳代さんの手元に残りました。
