(※写真はイメージです/PIXTA)

テレワークの普及やライフスタイルの多様化により、「地方移住」への関心は近年ますます高まっています。「物価が安い」「自然が多い」「人が温かい」──そんな期待を胸に、都市部から地方へ移る人は少なくありません。しかし、理想と現実にはギャップがあるのも事実。本記事では、「夢だった田舎暮らし」で想定外の孤独と壁にぶつかった60代女性を見ていきます。

市町村の“移住支援”は引っ越しまで。その後の支援は少なく…

実は佐藤さんは、移住前に市役所の「移住相談窓口」を通じて家探しや地域情報を得ていました。移住支援金(最大100万円程度)や住宅改修費の補助など、制度自体は整備されています。

 

しかし「移住後」のサポート体制は、自治体によってばらつきが大きく、「定住促進のための継続的なケア」はまだ発展途上です。

 

「引っ越すまでは本当に親切でした。でも、実際に住んでからの孤独や人間関係について相談できる窓口がない。“移住したら終わり”じゃなくて、その後の暮らしこそ大事だと思うんです」

 

現在、佐藤さん夫婦は「このままここで老後を過ごすことが本当に幸せなのか」と悩んでいるといいます。

 

「病院も遠くて、今後、どちらかが介護状態になったときが心配です。“家を買ったから最後まで住む”と固執せず、選択肢を広く持っておくことも大切ですね」

 

最近では、移住を一度体験してから本格的な転居を決める「お試し移住」を支援する自治体も増えています。

 

“終の棲家”は、一度決めたら変えてはいけないものではありません。変化の時代だからこそ、“柔軟な生き方”が求められているのかもしれません。

 

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