町内会=親族会議?知られざる“閉じた共同体”
佐伯さん夫妻が参加した町内会の集まりでは、「XXX家の三男さんが町内会長で…」といった会話が飛び交い、まるで“親族会議”のような雰囲気。外部から来た移住者の発言は、通り一遍の意見として受け流されることが多かったといいます。
「これ、誰に相談したらいいんだろう…」と思った頃には、すでに孤立感を抱えていました。
佐伯さん夫妻は、結局3年ほどで別の市街地へ転居。「今でもたまに戻りますが、客人扱いのほうが気が楽です」と語ります。
近年では、自治体が移住希望者向けに「地域コミュニティ情報」や「受け入れ体制の整った地区」のリストを提供する取り組みも進められています。また、地元NPOなどが移住者と住民の“橋渡し役”を担う例も増えています。
地方移住は、生活コストの軽減や自然との共生、地域とのふれあいなど、多くのメリットがある一方で、「見えないルール」や「親密すぎる人間関係」によるミスマッチも起こりえます。
佐伯さんは最後に、こう語ってくれました。
「結局、場所や家よりも“人”なんですよね。きれいな景色や広い庭があっても、ご近所との関係がギクシャクすると、居心地はよくありませんでした」
地方移住の成功には、地域の文化・人間関係への理解と、事前の下調べが欠かせません。思い描いた理想の暮らしを実現するためには、“見えにくい隣人関係”にもしっかり目を向けておく必要がありそうです。
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