内閣府調査が示す「1,769万円」という平均金融資産額
内閣府が発表した『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』において、高齢者世帯の金融資産は平均1,769万円と報告された。この数字を自身の状況に照らし合わせ、「自分たちは平均的、あるいはそれ以上だ」と安心感を抱く層は少なくない。
都内で長年勤め上げた佐藤健一さん(仮名・65歳)もその一人であった。退職金を含めた貯蓄約1,700万円と、夫婦合わせて月21万円の年金。これだけあれば、物価の安い地方に引っ越せば、穏やかに暮らせる。そう確信して郊外へ移り住んだ。しかし半年後、その確信は思わぬ形で裏切られることになる。
同調査では、町村部に住む高齢者の60.8%が「公共交通・移動の支援」を求めている実態が浮き彫りになった。佐藤さん夫婦が直面したのは、資金はあるのに、それを「生活の維持」に変換するインフラが地域に存在しないという落とし穴である。
