(※写真はイメージです/PIXTA)

ビジネスの現場はいつでも厳しいもの。しかし、職場のストレス要因が仕事内容そのものではなく、環境に起因するものだった場合、どうやって対処すればいいのでしょうか。実情を探ります。

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月曜日の出社が、いろいろな意味で憂鬱に…

「ただでさえ気が重い月曜日、出社が憂鬱でたまりません…」

 

そう話すのは、都内の企業に勤務する岡田翔太さん(仮名・28歳)です。岡田さんは現在の勤務先が2社目で勤続2年目。当初は営業部門で企画を担当していましたが、人手不足のため、今年の夏ごろから総務関連の業務を一部兼任することになりました。

 

週のうち4日は営業部内の自席にいますが、月曜日、総務関連の仕事を手伝うときは、社内のいちばん奥に位置する狭い部屋で、総務部の課長代理の鈴木さん(仮名)と向かい合って作業することになります。

 

「鈴木さんは気さくでとてもいい方です。ただ、かなりの汗っかき、そして無類のコーヒー好き、お酒好き、揚げ物好き…。申し訳ないのですが、正直、ニオイがしんど過ぎる。狭い部屋に2人閉じこもっていると、どうにかなってしまいそう…」

 

さらに困るのが、かなりのおしゃべりでもあるという点。

 

最初は「涼しくなれば少しは…」と思っていた岡田さんですが、季節が移っても変化はなく、空調を強めにしても、マスクを二重にしても、厳しい状況からは逃れられません。

 

「鈴木さんは40代後半の独身ひとり暮らし。話し好きな人で、しょっちゅう話しかけてきます。相槌を打ちながら、顔が引きつってしまって…」

 

「社外の友人に話したら〈本人に伝えれば?〉といわれましたが、そんなことできませんよ。〈じゃあ、マウスウォッシュをプレゼントすれば?〉〈机にそっとデオドラント剤を置けば?〉などアドバイスされましたが、あまり現実的とは思えません」

上司や同僚の汗・ニオイが気になったことがある人、79%

職場の“スメルハラスメント=スメハラ”は、いまや男女問わず深刻なストレスの原因になっています。

 

医療法人社団鉄結会が2025年9月に全国の社会人を対象に実施した職場における汗・ニオイに関するアンケート調査によると、「職場で上司や同僚の汗・ニオイが気になったことがあるか」という質問に対し、約79%の方が「気になったことがある」と回答。

 

また、職場で他人の汗・ニオイが気になる場面について、最多は「会議・打ち合わせ中」の約68%、次いで「エレベーター内」(61%)、「デスクが近い時」(54%)という結果に。密室、あるいは至近距離で気になることがわかります。そして、他人の汗・ニオイが仕事の集中力や業務効率に影響を与えたことがあるかについては、約58%の方が「影響があった」と回答しています。

 

「職場で上司や同僚の汗・ニオイが気になったことはありますか?」

 

よく気になる:32.7%

たまに気になる:46.3%

あまり気にならない:16.0%

全く気にならない:5.0%

 

「どのような場面で気になりますか?」(複数回答)

 

会議・打ち合わせ中:68.1%

エレベーター内:61.2%

デスクが近い時:54.4%

車内での移動中:47.6%

1対1の面談時:38.9%

休憩室・給湯室:26.3%

 

(医療法人社団鉄結会アンケート調査より)

 

このように、スメハラは多くの人が頭を抱える問題であり、業務の遂行にも少なからぬ影響があることがわかります。

スメハラが業務遂行の足かせに!?

社会保険労務士法人WILLの代表社労士である山本達矢氏は、社内でのスメハラについて、下記のような留意点と対応策があるといいます。

 

社会保険労務士法人WILL 代表社労士 山本 達矢氏
山本達矢氏 
社会保険労務士法人WILL 
代表社労士

「においは本人の気づきが乏しいことが多く、体質などの影響があることから、指摘する場合は十分な配慮が不可欠です。まずは社内全体の研修で啓蒙を行い、それでも改善されなければ個別の面談に移ります」

 

「気をつけたいのは、スメハラの指導は一歩間違えるとパワハラと受け取られる懸念もある点です。ご本人を排除したいのではなく〈これからも一緒に働きたいから、一緒に対策を考えさせて下さい〉という〈相手を想うスタンス〉で話をする、対応をすることも重要になります」

 

このように、伝え方には十分な配慮が必要だといえます。

 

岡田さんが悩む「スメハラ」は、単なる匂いへの悩みだけではなく、人間関係の問題、業務効率の問題など、多岐にわたる懸念をはらむ、根深い問題なのです。

 

 

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