(※写真はイメージです/PIXTA)

用意周到に人生設計を行い、着実に資産形成できる人がいる一方で、なかなか計画的に暮らすことができず、将来の不安を募らせている人もいます。ある50代男性の実情から考察します。

両親の介護費用を出したくても生活が厳しく、妹に丸投げ

「両親は私が50代になってすぐ、相次いで他界しました。最後は両親とも認知症を患って介護施設です。そばに暮らしていた独身の妹が、介護や施設入所の手続き、費用の捻出を全部引き受けてくれたのですが、口も金も出さずに丸投げしていた私に愛想が尽きたのでしょうね。両親が亡くなったあとは、連絡がとれなくなりました」

 

田中さんは、両親の介護費用を出したくても、自分の生活がいっぱいいっぱいだったと語ります。

 

「心配しているのは、自分の定年退職後の生活です。年金も大してもらえない。財産もほとんどない。親からの相続もない。いまの職場から離れたら、その先はどうなるのか…」

 

田中さんは、両親が認知症だったことに強い不安を抱いています。

 

「もし自分が認知症になったら、だれが助けてくれるんでしょう? 両親には妹がいましたが、私にはだれもいません。結婚を考えたことがないわけではありませんが、婚活もかなりお金がかかりますし、私が希望するような年下女性との出会いはむずかしい」

 

また、田中さんは生活習慣病の持病があり、医師からは食生活の改善と飲酒を控えるよう指導されています。しかし、なかなか従うことができません。

 

「両親は80代前半で亡くなったんですが、面倒を見ていた妹は結構大変そうでした。警察からの連絡に対応したり、けがで病院に運び込まれたりして、それで施設を検討することになったのですが、施設だってタダじゃありませんからね」

 

厚生労働省の資料によると、80代前半の認知症の有病率は、男性が15.9%、女性が16.9%で、その後も右肩上がりに増えていきます。認知症を発症しても、不思議ではない年齢です。

 

出所:厚生労働省「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」資料より
[図表] 出所:厚生労働省「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」資料より
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