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スピーディかつ柔軟にトラブルを解決できる「労働審判」
では、今回のAさんのように「不当解雇」と思われる場面に遭遇した場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
1.「解雇理由証明書」の発行を求める
まずは使用者が「解雇」、すなわち一方的に雇用契約を終了させる通告したことの証拠を確保する必要があります。これがあってはじめて、解雇の効力を争えるようになるといっても過言ではありません。
労働基準法22条では、「労働者が求めた場合、使用者は『解雇理由証明書』を発行しなければならない」と定めていますので、まずはこの証明書の発行を会社に要求するとよいでしょう。
2.「解雇は無効」と主張し、解雇以後の給料を請求する
解雇理由証明書が手に入ったら、内容証明郵便などで解雇の無効を主張し、解雇以後の給料(バックペイ)を請求するための交渉を始めます。解雇が無効だとしても、もはや復職は現実的ではないでしょうから、建前は解雇の無効を主張しつつも、最終的には「解決金の支払いによる和解」を目指すことが一般的です。
3.「労働審判手続」を申し立てる
交渉が不調なら、裁判手続で解決を図ることになります。このときに有用なのが「労働審判」という手続です。
労働審判では、原則として3回以内の期日で審理を終えることと定められており、迅速な解決が期待できます。また、法的な権利関係だけでなく、事案の実情も考慮して柔軟な解決を図ることができるという特徴があります。
ただし、審理の回数が制限されていることから、申立てをする段階で主張や証拠を充実させておくことが重要です。具体的には、予想される争点や関連する重要な事実とその証拠、交渉の経緯などを申立書に余さず書く必要があります。
そのため、遅くとも労働審判の申立てをするまでには弁護士に依頼することをお勧めします。
注意点:裁判中の「転職」でバックペイ減額の可能性も
不当解雇を争っているあいだの就職活動については注意が必要です。
単に就職活動をするだけでは不利に働くことはないと考えられますが、実際に他社に就職し収入を得てしまうと、解雇の無効を主張してバックペイを請求しつつ他社でも給与を得ているとして、いわば給料の「二重取り」とみなされ、バックペイが減額されることも。ただし、減額は本来の給料の4割を超えてはならないという判例があります。
また、正社員として転職した場合は、「復職の意思がない」と判断され、それ以後の期間についてバックペイの対象外となってしまう可能性もありますので、この点にも十分注意が必要です。
横山 令一
弁護士法人平松剛法律事務所福岡事務所
弁護士
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