「親の老後=子どもの責任」ではない
「息子から絶縁に近い言葉を突きつけられて、本当に辛かった。でも、もう仕送りは頼まない。やっぱり年金の範囲で生きるしかないんだな」
川上さんはため息まじりにそう話します。
一方で、「もう少し言い方を考えればよかったかもしれない」ともポツリ。親としてのプライドと甘えの間で揺れた結果、親子の距離は思わぬ形で遠ざかってしまったのです。
年金受給者が生活の一助として子どもに支援を求めるケースは少なくありませんが、支援を“当然”と受け止めることは、親子関係に深い溝を生む要因にもなります。
高収入の子どもであっても、生活に余裕があるとは限りません。経済的支援を受けたいときは、「助けてもらえることは当たり前ではない」という意識と、誠実な対話が求められます。
「支える・支えられる」という関係を押しつけるのではなく、互いに尊重しあえる距離感を築くことこそ、これからの高齢社会に必要な“新しい親子関係”といえるのかもしれません。
