後継者がいない会社を救う「従業員承継」──株式・保証・評価額の“3つの壁”を越える方法【公認会計士が解説】

後継者がいない会社を救う「従業員承継」──株式・保証・評価額の“3つの壁”を越える方法【公認会計士が解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

親族が継がない企業では、従業員への承継が現実的な選択肢となります。しかしその裏には、株式評価額の高さや経営者保証の問題など、複雑な課題が潜んでいます。承継を成功させるために、今すぐ準備しておきたい3つの実務対応を公認会計士の岸田康雄氏が解説します。

「株式評価額」を下げる3つの方法

従業員が株式を買い取れないほど評価額が高い場合は、評価額の引き下げ策を検討する必要があります。主な方法は次の3つです。

(1)退職金・配当金の支払いによる資産圧縮

余剰資金や生命保険の解約返戻金を、現経営者に退職金として支払うか、配当金として分配します。これにより、会社に残る資産が減り、結果的に株式の評価額も低下します。

(2)不動産を除いた「事業譲渡」

会社全体を譲渡せず、営業用資産と負債のみを譲渡する「事業譲渡」も有効です。本社ビルや工場などの不動産を会社に残せば、譲渡価額を抑えることができます。

 

結果として、従業員でも手を伸ばせる水準まで引き下げることが可能です。

(3)「所有と経営」を一時的に分離する

株式は現経営者(または親族)が保有したまま、代表取締役の地位だけを従業員に引き継ぐ方法もあります。いわば「中継ぎ社長」を置く形です。

 

ただし、この場合は所有と経営が分離するため、株主と経営者の間に利害対立が生じやすく、慎重な運営が求められます。

従業員が融資を受けるには?

非上場企業の株式を従業員が個人で購入するのは、金融機関にとってリスクが高いため、融資は容易ではありません。

 

その際に頼りになるのが、日本政策金融公庫の「国民生活事業」による承継資金の融資制度です。最大7,200万円までの融資を受けられるほか、「中小企業経営承継円滑化法」による特例利率の適用を受けることも可能です。

「従業員承継」成功のカギは“早期の準備”と“見える化”

従業員承継は、親族内承継と比べても手続きが複雑で、心理的・資金的なハードルが高いのが実情です。

 

とはいえ、早期に準備を始め、株式・借入金・経営課題などを後継候補と共有することで成功の可能性は大きく高まります。「誰に任せるか」だけでなく、「どうやって引き継ぐか」「どのようなスキームで株式や保証を整理するか」までを見据えて進めることが、“従業員承継成功”への第一歩といえるでしょう。

 

 

岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

 

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