退職金の「経費算入限度額」を計算
仮に社長が健康に働き続け、70歳で引退する場合、退職金はいくら受け取れるのでしょうか。退職金の経費算入限度額は次の式で算定されます。
社長の功績倍率を3倍とし、報酬月額100万円、勤続年数35年とすれば、
が、経費に入れられる退職金の目安となります。
相続資金のための「終身保険」
相続資金を準備するには「終身保険」が有効です。終身保険は、どれだけ長生きしても必ず死亡保険金が支払われるため、後継者以外の相続人に対する分配資金として活用できます。
たとえば、長男が会社を継ぎ、長女と二女に対しては相続資金として5,000万円を用意したい場合、この金額を終身保険で確保します。
保険は退職時に法人契約から個人契約へ名義変更し、「現物支給の退職金」として取り扱います。こうして社長個人が保険契約を引き継ぎ、相続時にはその保険金をもとに遺産を分配する仕組みです。
また、保険金を長男が受け取り、そこから長女と二女に分け与える形を「代償分割」と呼びます。これにより、株式は長男へ集中させつつ、他の相続人への公平な分配も実現できます。
老後資金のための「長期平準定期保険」
一方、老後の生活資金は「長期平準定期保険」で備えます。
契約者と受取人を会社、被保険者を社長とし、支払った保険料の約4割が経費として認められるのが特徴です。保険金額は終身保険より約2割大きく、解約返戻金を退職金として受け取ることで、老後資金として活用できます。
たとえば、終身保険で相続資金5,000万円、長期平準定期保険で解約返戻金5,000万円を準備すれば、引退時には「現金5,000万円+保険契約5,000万円」のバランスの取れた形になります。
「老後資金」と「相続資金」の準備
事業承継は、単に会社を引き継ぐだけでなく、社長自身の老後資金と、家族の相続資金をどう準備するかという総合的な設計です。
法人保険を活用し、
・終身保険で「相続資金」を確保
・長期平準定期保険で「老後資金」を準備
この2本柱で備えることで、万一の際にも会社と家族の双方が混乱することなく、円滑な事業承継が可能になります。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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