メイン銀行から借り替えて、根抵当を解除
「銀行交渉に大切なのは、信頼関係です!」
「ウチは信用があるから、これだけの額を貸してもらえます!」
などなど・・・。誤った認識で、不利な条件をのまされている会社を、たくさん見てきました。
現代の銀行交渉に、義理・人情は通じません。銀行にとっては、生き残りをかけた、仁義なき戦い、なのです。企業側も、その心づもりで臨まねばならないのです。
前回の続きで、ある企業の話しです。子会社に土地を売却し、オフバランスをするわけですが、その土地の根抵当がネックになっていたのです。
そこで、根抵当を抑えているメイン銀行に、有償解除を申し入れました。が、すんなり受け入れてはくれません。のらりくらりの対応です。それどころか、
「もう少しシェアを広げさせていただたければ・・・」
と、ずうずうしい要求さえもしてくるのです。その企業は、メイン銀行に嫌気がさしていました。
「こんなことなら、メイン銀行なんて、変えてもいい!」
そこへ、別の第2地銀が、協力してくれることになったのです。
「ぜひ、協力させてください!」と・・・。
つまり、こうです。メイン銀行の根抵当をはずしたい企業が、
1)第2地銀から融資を受ける
2)その資金を、メイン銀行に返す
3)返せば、根抵当は外れる
という流れです。
これによって、メイン銀行は、シェアを減らすどころか、メインの立場も失うのです。
「返していいですか」と聞くからすんなり返せない
そこで気になったのが、
2)その資金を、メイン銀行に返す
という部分です。そこで、第2地銀の支店長に聞きました。
「返す、といっても、相手がすんなりOKしますか? おたくだって、返されるとなったら、反対するでしょう?」
すると、乗り気の第2地銀の支店長は、こう言ったのです。
「いやいや、そんなこと、簡単なんですよ。」
「どうするんですか?」
「何も言わずに、口座に振り込んでしまえばいいんですよ。」
「えっ、そうなんですか?」
「そうですよ。『返していいですか?』と聞くから、『それはかんべんしてください』と、なるんですよ。 振り込まれてしまったら、我々はもう、どうすることもできませんから」
なるほど・・・。
そして、メイン銀行に振り込むXデーを決めたのです。Xデーの数日前に、
「ちょっとご相談したいことがあるので、伺わせていただきます」
と、メイン銀行にアポイントを取りました。
「どうぞどうぞ、お待ちしております」
その頃には、メイン銀行は、根抵当解除の要求は、すっかりおさまったもの、と思っていたのです。
そして、Xデーが来ました・・・。
(さらに、次回につづく・・・)