(※写真はイメージです/PIXTA)

親への仕送りは、感謝や親孝行の気持ちから続けられることが多いものです。しかし、送金の記録が積み重なる一方で、親が本当に困っていたのか、何に使っていたのかを詳しく知る機会は意外と少ないかもしれません。相続の場面で通帳や手紙、封筒などが見つかり、初めて親の“真意”や“工夫”を知る――そんなこともあります。

通帳に残された“意外な金額”

もうひとつ、麻衣さんを驚かせたのは、父の通帳残高。

 

「ほとんどないと聞かされていたのに、100万円以上あったんです」

 

どうやら父は、年金と仕送りで生活しつつ、使わなかった分を少しずつ定期に預けていたようでした。

 

「お金がないフリをして、もしかしたら“老後に備えて”と私を気遣っていたのかもしれません。何だかずるいような、でも…やっぱりありがたいと思ってしまいます」

 

麻衣さんのように、親に仕送りを続ける人は少なくありません。制度上、仕送りの金額や頻度によっては「贈与」とみなされることがありますが、一般的に生活費や教育費など“日常の範囲内”であれば贈与税は非課税とされています。

 

ただし、以下のようなケースは注意が必要です。

 

●高額(年間110万円を超える)であった

●生活費ではなく、資産形成(親名義の貯金や不動産購入など)に充てられた

●契約書などで「無利子の貸付」としていたのに返済がない場合

 

今回の麻衣さんのように、仕送りを記録していた場合は、贈与の事実が明確になるため、税制面での影響が出ることもあり得ます。相続発生後に「仕送りか、贈与か、貸し付けか」と揉めるケースも多いため、可能であれば帳簿やメモの保管、家族間での意志確認をしておくのが望ましいでしょう。

 

最後に、麻衣さんは「父が残してくれたのはお金じゃなく、心だった」と語ります。

 

「正直、もっと優しい言葉が欲しかった。でも、あの封筒を見て、“ああ、この人なりに一生懸命だったんだ”と思えて、報われた気がしました」

 

形に残るもの――それが、言葉でなくても、記録であっても、手書きのメモでも、人の気持ちは伝わるのかもしれません。

 

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