「よそから借ります」と返答をしたところ・・・
「銀行交渉に大切なのは、信頼関係です!」
「ウチは信用があるから、これだけの額を貸してもらえます!」
などなど・・・。誤った認識で、不利な条件をのまされている会社を、たくさん見てきました。
現代の銀行交渉に、義理・人情は通じません。銀行にとっては、生き残りをかけた、仁義なき戦い、なのです。企業側も、その心づもりで臨まねばならないのです。
メイン銀行というのは、時に、強気に出てきます。ある企業で、メイン銀行との金利交渉の際、銀行担当者がこういったそうです。
「そうですか・・・、御社とは長いおつきあいですが・・・、 そこまで金利を下げて欲しいとおっしゃるなら、 御社との取引を見直さなければいけないですね・・・。現状の金利だと、他の銀行から借りる、というわけですね」
この失礼な発言に、交渉担当者は怒りが高まったものの、平然と、
「そういうことです。よそから借ります。」
と、返答したそうです。(内心はヒヤヒヤものだったそうですが。)
まさかそう返答されるとは思っていなかったのが、そのメイン銀行の担当者です。そして、その際の交渉は、その場で終わりました。
すると、数日後に、メイン銀行の上司と、新たな担当者が、頭を下げてやってきたそうです。さらに、金利も大きく下げる提示を持ってきたのです。
先の交渉の担当者は、その一部始終を上司に伝えたところ、担当から外されたのです。
「メイン銀行」だからといって臆する必要はない
つまり、先の担当者は、メイン銀行という立場をたてにして、おどしをかけてきたわけです。そうすれば、この会社はすんなり引っ込むだろう、と、にらんでいたわけです。それが、思惑通りにいかなかった。そのことを上司に伝えたところ、おそらく、
「そんなことをして、融資のシェアが小さくなったらどうするんだ!」
ということで、叱責を受け、担当から外されたのでしょう。そして、上司がわびに来た、というわけです。
メイン銀行の中には、偉くもないのに、強気の発言をする人物がいるようです。しかし、そんなおどしまがいの発言にひるまなかった。
「よそから借ります」と、言ってやった。その交渉担当者は、立派です。大きな自信になったことと思います。
融資をしたい銀行なんて、いくらでもあるのです。カネに変わりはありません。融資が必要な商売なら、複数銀行取引をして、
「ダメならよそにお願いするから」
という、強い姿勢で臨めばよいのです。