残価設定ローンの“本当の仕組み”
残価設定ローンとは、数年後の車の予想下取り価格(残価)をあらかじめ差し引いた金額に対してローンを組む仕組みです。月々の支払いが抑えられる反面、3〜5年後に「残価(数十〜数百万円)」の支払い義務が発生します。
最終回に支払う「残価」を再ローン化することもできますが、その場合は実質的に長期ローン化し、総支払額が増えることもあります。
また、残価設定ローンは“実質的なリース契約”に近いため、
●走行距離の上限(例:年間1万kmまで)
●修復歴や車体損傷の査定減額
といった制約があります。返却時に査定額が下がれば、追加精算が発生するケースも少なくありません。
納車から3年。残価として120万円の支払いを迫られた岡田夫妻。
「もう一度ローンを組めば乗り続けられる」というディーラーの説明に対し、美咲さんは静かに首を振りました。
「このままローンを延ばしても、また同じことの繰り返し。3年で終わると思っていたのに、ずっと支払い続ける生活になる。」
結局、夫婦は車を手放す決断をしました。下取り価格は残価を下回り、最終的に追い金として20万円を支払うことになりました。
「恥ずかしかったですよ。まさか“返す側”になるなんて。でも、ようやく冷静になれた気がします。」
車を手放したあとの生活は、意外にも快適だったといいます。
「カーシェアやレンタカーで十分。今では“必要なときに使う”方が理にかなっていると思えるようになりました。」
夫婦はその後、浮いた分を貯蓄と旅行費に回すように。家計のバランスを見直すきっかけにもなりました。
残価設定ローンは、手軽に新車を持てる一方で、「月々いくら」だけを見て判断すると家計を圧迫するリスクがあります。金利・残価・メンテナンス費・保険料などを含めた「総支払額」を把握しない限り、“お得”とは言えません。
岡田さんは最後にこう語りました。
「『どうせローンでしょ?』って言葉、当時はムカついたけど、今はちょっとわかる気がします。持つことにこだわって、数字を見ていなかったのは自分なんです。」
「憧れのSUV」は、夫婦に“お金の使い方”を問い直すきっかけを残していきました。
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