超しっかり姉さん女房に守られてきた男、妻の死で知った現実
田辺洋一さん(仮名・52歳)は、妻・美佐子さん(仮名・66歳)と年の差14歳の夫婦です。美佐子さんは地元企業の事務員として長年勤め、65歳で定年退職。その後も週4日アルバイトを続けるなど、働き者で家庭でもしっかり者でした。
一方の洋一さんは倉庫での軽作業の仕事を続けており、家計の管理や役所の手続きはほとんど妻に任せきり。「もっと働けよ、お前が!」と冗談交じりに叱られることもしばしばでしたが、二人の関係は穏やかで安定していました。
ところがある日、美佐子さんが突然、心筋梗塞で倒れ、帰らぬ人に。頼れる姉さん女房を失った洋一さんは、悲しみの中で葬儀や各種手続きを進めていきました。
「年上っていっても、こんなに早く別れが来るなんて思っていなかった……」
葬儀を終え、ようやく落ち着いた頃、じわじわと不安が押し寄せてきます。美佐子さんが生前受け取っていた年金は年150万円ほど、アルバイト収入も年100万円ほどありました。
一方の洋一さんの年収は約280万円。世帯年収530万円の生活が、一気に280万円に。家賃9万円のアパート暮らしも、続けるのは厳しくなりそうです。そんなとき、友人から「奥さんの遺族年金、もらえないの?」と助言を受けます。
「そうか、年金が少しでも入れば助かる」
そう思い立ち、年金事務所を訪ねた洋一さん。しかし、そこで突きつけられたのは――冷たい現実でした。
