「猫より孫を優先して」と主張する嫁
そんな関係に決定的な亀裂が入ったのは、愛猫ミントをめぐる出来事でした。
「ミントにかけるお金が保険代も含めて月1万円ほどだと話したら、『孫のことは可愛くないんですか?』と怒られて、びっくりしました。お年玉も渡しているし、家に来たときは食事でもてなしている。それでも『猫より孫を優先して』って言われると、違和感しかありません」
さらに美佐子さんが驚いたのは、お嫁さんから「お義母さんに介護が必要になったときは、お義母さんとミントの面倒を見るのは私たちなんですよ」と言われたことでした。
普段は淡々としている美佐子さんですが、その発言は看過できませんでした。
「私が病気になったり介護が必要になったりしたときに、あなたたちに面倒を見てほしいなんて、思ってもいません。そのために私はずっと定年まで働いてきたの。ミントも、年下の友人が世話をしてくれることになっています。もちろん世話にかかるお金も渡すつもりです。とにかく、あなたたちの世話になるつもりはないので、あなたたちは自分の家庭のことだけ考えてください」と返答。
するとお嫁さんは「私のことが信じられないんですか」と泣き出してしまったといいます。
「正直、『猫より孫を優先しろって言う人に、大事な猫を託すなんてできるわけないでしょ』と、喉まで出かかりました」と美佐子さん。以来、息子夫婦とはさらに距離を置くようになったといいます。
肝心の息子は母の性格を理解しており、落ち着いたタイミングで妻にこう話したそうです。
「母さんはそういう人なんだ。精神的にも経済的にも自立していて、僕はそんな母さんを誇りに思うよ」
「そんな話をしたらあのお嫁さんのことだから、実家に帰るんじゃないかと思いましたが、子どもがもう少し大きくなったら、働こうと考えているみたいです」と美佐子さん。
犬猫にかかる費用は月平均1万7,985円
女性誌「ハルメク」を展開するハルメク 生きかた上手研究所の調査(2025年2月実施)によると、全国の50~83歳のハルトモ(ハルメクのモニター組織)581人のうち26.7%がペットを飼育。犬猫いずれかの飼育率は16.4%と前回調査よりやや減少したものの、犬猫を飼う女性の幸福度は非飼育者より0.38ポイント高い結果でした。また、犬猫の平均月額費用は月平均17,985円(犬2万603円、猫1万3,980円)で、約6割が「年齢に合わせたフードや医療ケアに気を使っている」と回答しました。
息子夫婦との行き来は減りましたが、美佐子さんにとって今の暮らしはとても充実しているといいます。
「無理に仲良し家族を演じる必要はありません。猫も私も健康でいられるように、自分のペースで生きる。それが、今の私にとっての幸せです」
ミントが膝の上で丸くなるのを見ながら、美佐子さんは穏やかに笑いました。
[参考資料]
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
