前回は、変形性膝関節症を悪化を防ぐ「日常生活上の留意点」 を取り上げました。今回は、変形性膝関節症の予防のために意識したい「食事」の内容を見ていきます。

スマートフォンで毎食の写真を撮り、反省材料に

前回に引き続き、変形性膝関節症の予防のために食生活で心がけることを見ていきます。

 

●毎食を記録する

一時期、食事内容を記録する「レコーディング・ダイエット」が話題になりましたが、そこまで厳密でなくてもいいので記録しておきましょう。

 

毎食記録するのが面倒な人は、スマートフォンで毎食の写真を撮っておき、誰か身近な人に見てもらうだけでも、「夕食は量が多かったな」「もう少し野菜を摂ればよかったな」などと反省材料が浮き彫りになり、次に生かしやすくなります。

 

朝食は日中の活動のエネルギー源になるので多めに、夕食はエネルギーが脂肪になりやすくなるので控えめにしておきましょう。就寝2時間前には食事を摂り終えることも鉄則です。

 

●野菜は1日350g

1日350g(サラダなら両手のひらに乗るくらいの量)の野菜を食べることを目指してください。特に緑黄色野菜はビタミンが豊富で、悪玉コレステロールの酸化を防ぐ作用もあります。

 

家での食事の時は火を通して野菜のかさを減らして量を多く食べられるようにしたり、外食や中食ではサイドメニューを野菜中心にするなど、できる範囲で積極的に野菜を食べる習慣をつけてください。

 

●一汁三菜

主菜、主食、副菜2つ、汁物の和食の組み合わせが栄養バランスが良いのでお薦めです。特にだし汁は脳をリラックスさせ、食べすぎを防いでくれる効果もあります。主食は、食物繊維の多い玄米や胚芽米など、色つきの穀物を食べるようにするとヘルシーです。

高齢者ほど「たんぱく質」を積極的に摂取

●糖質制限を心がける

ごはんやめん類、パンなどの主食には炭水化物(糖質)が多く含まれており、たくさん食べると太りやすくなります。

 

特に肥満の人は「大盛りやおかわりをやめる」「ラーメンにごはんをつけるのをやめる」など、ぜひ今よりも糖質の量を控えめにしてください。ただし、主食を全く食べないなど、極端な糖質制限はリバウンドにつながってしまいます。これまで茶碗1杯だったご飯を八分目に減らすなど、少しずつ実践してください。

 

そして減らした分を野菜や海藻類、豆類など、ビタミン・ミネラルが豊富な食品に置き換え、積極的に食べるようにしましょう。

 

●たんぱく質を意識して摂取

私のクリニックでは、患者さんの血液検査などの結果を見て個別に栄養指導をすることもあるのですが、その時に気になるのは、特に高齢者の方々にはたんぱく質摂取が極端に少ない「新型の栄養失調」が非常に多いことです。

 

食生活に気を配り、カルシウムやビタミンは積極的に摂取している人でも、肉、魚、卵などのたんぱく質を「コレステロールが高いから」といって避ける傾向があります。特にたんぱく質の一種であるコラーゲンは、ひざの関節軟骨を形作る大事な成分です。加齢により食が細くなればなるほど、たんぱく質を中心に、少量でも質の良い食べものを3食しっかり摂取することを心がけることが何よりも大切です。

 

特に卵は天然のサプリメントといわれるほどなので、ぜひ食べていただきたい食材です。かつては「卵はコレステロールが高いので1日1個まで」などといわれていましたが、2015年に日本動脈硬化学会が「食事内容でコレステロール値は変わらない」と声明を出し、厚生労働省も1日のコレステロール摂取基準を撤廃したという経緯があります。

 

持病で食事制限のある人以外は、安心して積極的にたんぱく質を摂取してください。

本連載は、2016年6月29日刊行の書籍『その痛みやこわばり、放っておくと危険! ひざに「! 」を感じたら読む本』から抜粋したものです。記載内容は予防医学の観点からの見解、研究の報告であり、治療法などの効能効果や安全性を保証するものではございません。

その痛みやこわばり、放っておくと危険! ひざに「!」を感じたら読む本

その痛みやこわばり、放っておくと危険! ひざに「!」を感じたら読む本

橋本 三四郎

幻冬舎メディアコンサルティング

断続的に続く、ひざの違和感。 放っておくと歩けなくなるばかりか、将来寝たきりになるリスクもはらんでいます 。 本書では、ひざの違和感の正体を明らかにするとともに、9割以上の人が効果を実感しているマッケンジー・エ…

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