体重3kg増で、階段でのひざへの負担は10.5kg増!?
変形性膝関節症と長く付き合う上で、大事なことが2つあります。それは、「バランスの良い食事」と「適正体重の維持」です。
様々な種類の食品からビタミンやミネラル、抗酸化物質などをバランス良く摂り、食べすぎを防いで「太りすぎず、やせすぎず」の適正体重をキープすることが大切です。
体重増加は、変形性膝関節症をはじめとするひざ痛、腰痛、首・肩の痛みなどの諸症状の非常に大きな要因の一つです。
アメリカ・シカゴにあるクック郡病院の研究結果によると、変形性膝関節症患者のおよそ5割が、発症の3~10年前から標準体重を上回っていました。また、体重が急に増えた直後に発症したケースが多かったといいます。
ひざ関節にかかる負荷が一定以上になると、関節を構成する骨や筋肉がダメージを受け、症状が悪化します。前にも述べたように、階段を降りる時にはひざに体重の3.5倍もの負荷がかかります。すなわち、体重が3㎏増えるだけでひざへの負担が10.5㎏にも増してしまうのです。
肥満を判定するBMI指数の式を改めて掲載します。
(体重〔㎏〕÷身長〔ⅿ〕÷身長〔ⅿ〕)
※BMI25以上が肥満
例えば身長150㎝で体重60㎏の女性は、BMI指数が26.7のため肥満と判定されます。
体重を減らすことで、変形性膝関節症の予防や症状をやわらげることができます。しかし、極端な食事制限はかえって逆効果です。よくいわれることですが、一時的に体重が減っても、食事制限を解除すると一気に元に戻り、リバウンドしてしまうことがあるためです。短期的な減量よりも、長い目で見てゆっくりと続ける減量のほうが、体にもやさしく、効果も高いのです。
食生活では、食事の「回数」や「量」に注意を
食生活では、主に次のことを心がけてください。
●食事を抜いたり、極端に量を減らしたりしない
ダイエット中だからといって1日1~2食にする人がいますが、かえって基礎代謝率が悪くなり、太りやすくなります。
また、食事量を極端に減らすと、たんぱく質など必須の栄養素が不足しがちになり、筋肉や骨の衰えにつながります。3食しっかり摂ることが大切です。
●ゆっくり食べて腹八分目
食事は腹八分目が理想です。急いで食べると満腹中枢が反応する前に食べすぎてしまうので、ゆっくり、よく噛んで食べて、空腹感が消えたところで食べるのをやめましょう。
脳が満腹感を得るのは食べ始めてから20~30分後といわれるので、食事時間は多めに確保しておくのもポイントです。