移動機能の低下は要支援・要介護を招く
ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群、以下ロコモ)は関節や筋肉など運動器の障害により、移動機能が低下した状態を指した概念です。
加齢に伴う運動器疾患は、変形性膝関節症をはじめとする関節の病気のほか、変形性脊椎症、骨粗鬆症、サルコペニアなどが複合して発症しやすく、痛みや関節の可動域制限、筋力の低下、バランス能力の低下などを引き起こして、移動機能を低下させてしまいます。そして「年だから仕方ない」と放置した結果、要支援・要介護になってしまうケースが後を絶ちません。
「ロコモ予防」に効果的な早い時期からの運動習慣
日本整形外科学会では、ロコモを判断する「ロコチェック」を推奨しています。
次の7項目のうち、一つでも当てはまる場合はロコモが疑われます。ひざ関節のほか、骨や筋肉など、衰えている器官がないかチェックしましょう。もしチェックが入ってしまったら、整形外科の専門医を受診してください。
【ロコモ(運動器症候群)を判断するロコチェック】
1 片脚立ちで靴下がはけない。
2 家の中でつまずいたり、すべったりする。
3 階段を昇るのに手すりが必要である。
4 横断歩道を青信号で渡りきれない。
5 15分以上続けて歩くことができない。
6 2㎏程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(2㎏=1リットルの牛乳パック2本程度)。
7 家の中のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)。
ずっと自分の足で歩き続けるためには、ロコモ予防の対策を万全にしておく必要があります。ロコモ予防として最も効果的なのが、やはりできるだけ早い時期からの運動習慣だといわれています。ちょうど変形性膝関節症の発症率が上がる40代以降から、骨や筋肉の量はどんどん減少し、衰えていきます。
老化は避けられないことですが、骨量と筋肉量を増やすためにも、スポーツで適度な負荷をかけ続けましょう。
40代以降で筋肉を鍛えているかどうかが、要介護・寝たきりになるかどうかに大きく影響するといっても過言ではありません。