“勝たない働き方”の先にあった静かな後悔
「これまで、後悔なんて一度もしなかったんです。同期が管理職に就いて疲れ切っているのを見て、“自分は自分でよかった”とさえ思っていました」
しかし、ねんきん定期便を見てからは、「さすがにこれはまずいかもしれない」と考えるようになったといいます。
「退職金も多くはないし、老後に向けた貯金もほとんどしてこなかった。つい最近、妻から“これからどうするの?”と真顔で言われて…少し焦っています」
キャリア観が多様化するなかで、“役職に就かない働き方”を選ぶ人も増えています。ただし、その場合は、収入が上がりにくい分、早めの資産形成が必須です。40代からiDeCoやNISAを活用する、支出を見直す、退職金制度を確認するなど、“自分で備える姿勢”が求められます。
出世を望まない働き方も、決して間違いではありません。しかし、それに伴う収入・年金額の現実から目を背けていると、将来の生活設計に大きな影響を与えかねません。
岸本さんはこう語ります。
「“出世したい人はすればいい。自分は自分”と思っていたけど、人生後半になって“自分”を守るには、それなりの準備が必要だったんだなと、今さら思います」
“ヒラの美学”を貫いた男が、50歳で見つめ直す“老後のリアル”。それは、これからの働き方を考える私たちにも、ひとつの警鐘を鳴らしているのかもしれません。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
