世帯年収1,500万円以上のカップルの4割「離婚を具体的に意識したことがある」
株式会社CAREER FOCUSが離婚経験者および既婚者計450名を対象に実施した「キャリアと夫婦関係・離婚に関する実態調査」では、世帯年収1,500万円を超えるパワーカップルのうち、40.0%が「離婚を具体的に意識したことがある」と回答しました。
世帯年収500〜800万円層(18.5%)の2倍以上にのぼります。経済的に恵まれているほど、夫婦関係が不安定化する傾向があるというのです。
調査では離婚の最大の火種として「キャリア格差」が浮上。夫婦の一方がキャリアで先行した場合、取り残された側は劣等感を、先行した側は罪悪感を抱き、関係悪化の引き金となるケースが多いといいます。
「夫の昇進を素直に喜べなかった」「笑顔の裏で焦りを感じていた」――こうした声は決して珍しくありません。
同調査では、「対等な関係を保とうとするほど、かえって不満が増える」という“対等性のジレンマ”も明らかになりました。
高学歴・高収入層ほど、「家事も育児もキャリアも平等に」と理想を掲げますが、その理想が現実のわずかな不均衡を許せなくしてしまう傾向があります。
工藤さんの家庭もまさにそうでした。
「『家事は半々、育児もできるだけ協力する』と口では言っていたものの、どうしても妻任せになっていた」と素直さんは振り返ります。そして、「自分では“協力している”つもりだったけれど、妻から見れば“分かってくれない人”に見えていたのかもしれません」と続けました。
同調査によると、世帯年収1,500万円以上の層の62.1%が「夫婦の会話時間は1日15分未満」と回答。仕事にリソースを割きすぎて、夫婦の関係維持に必要な“時間資本”が枯渇している実態が浮き彫りになりました。
素直さんも思い当たる節があるといいます。
「娘が寝た後に帰宅して、妻と顔を合わせるのはほんの数分。家族のために働いているつもりが、家族との時間を犠牲にしていたんです」
裕子さんも「夫や娘は大事な家族で愛している気持ちは変わりません。家事分担についても何度も話そうと思ったのですが、ゆっくりと二人で話す時間もなくて、そのまま今日までずるずときてしまったんです」と話しました。
あと3年、夫婦の最終章
離婚を切り出されてから半年。夫婦は今も同じ家に暮らしていますが、互いに新しい人生を見据えて静かに準備を始めています。
「まだ完全に気持ちの整理はついていません。でも、妻の言葉を聞いて、初めて“自分は彼女の人生の足を引っ張っていたかもしれない”と気づきました」と素直さん。
裕子さんは「離婚といっても娘が自由に行き来できるように近くに住むつもりです。それは『離婚』と言わないのでは? と友人から言われることもありますが、私の中でケリをつけたいんです。勝手な言い分ですが、前向きな離婚です」と話しました。
娘が18歳になるまでの3年間。それは、夫婦としての最終章であり、もう一度“個としての人生”を取り戻すための助走期間なのかもしれません。
[参考資料]
株式会社CAREER FOCUS「キャリアと夫婦関係・離婚に関する実態調査」
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