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長期的に企業価値の増大を見極める「オーナー型株式投資」
世の中では、株式投資とは「安く買って高く売る」ことで利益を得る行為だと考えられています。日々の株価の上下に注目し、売買のタイミングを見極めることが成功の鍵(かぎ)だという見方が一般的です。多くの投資家が市場の変動を収益化しようとし、SNSやニュースに張り付き、次の売買チャンスを探しています。
しかし、株式投資には別の考え方も存在します。それが「オーナー型株式投資」です。これは、企業の一部を所有し、その価値の増大を自らの資産として享受する投資スタイルです。株価の短期的な変動ではなく、企業の成長そのものを投資リターンの源泉と考える点が特徴です。
この2つのスタンスは、保有期間の長短はあれ、株式を売買するという事実において違いはないかもしれません。それは単なる心構えの違いだと片付けることもできます。
しかし、この心構えの違いが、投資期間の長短、投資先企業の選び方、ポートフォリオの組み方、さらにはビジネスパーソンとしての仕事への取り組み方に至るまで、決定的な差を生むのです。
売買型株式投資では、値動きを予測し、需給の変化を捉(とら)えることが重視されます。一方で、オーナー型株式投資では、事業の経済性や企業の成長力に焦点を当て、長期的な視点で企業価値の増大を見極めることが求められます。
どちらのアプローチを選ぶかは、投資家それぞれのスタンスによります。具体的には短期的な市場の変動を収益化するのか、それとも企業の成長をじっくり待つのか。ここで重要なのは、自分が目指すべき「人生のゴール」が何かということです。
本記事では、売買型株式投資家W氏の1週間を紹介します。
売買型株式投資家W氏の投資に没頭する1週間
「オーナー型株式投資」の事例を紹介する前に、本記事ではまず広く知られている投資の方法である「売買型株式投資」を行っているW氏の1週間を見てみましょう。
仕事と投資の板挟みな状況下で月曜から夜更かし
朝、W氏はスマートフォンでSNSをざっと流し読みし、「今週の注目銘柄」の投稿をスクリーンショットに保存する。売買の判断材料として、需給やチャートの動きを確認しながら、証券アプリで保有株の動向をチェック。朝の売却注文を済ませ、慌ただしくスーツに袖(そで)を通して家を飛び出した。
午前の営業部定例会議では、上司の説明を聞きながら真剣にメモを取るが、「今朝売った銘柄の価格はどうなっただろうか?」と何度も頭をよぎる。しかし意識を切り替え、会議の議論に集中する。
午後の商談では、顧客との会話に没頭するも、移動中には証券アプリを開き、売却した銘柄の値動きを確認。「利益が出てよかった」と安堵(あんど)するも、「もっと良いタイミングがあったかも」と考え始める。
帰宅後、投資系YouTube を再生しながらSNSをチェック。「〇〇銘柄はまだ上昇余地あり」という投稿を見つけ、翌朝の売買を検討。気づけば深夜。「明日こそ早く寝よう」と思いながらも、米国市場の動きをチェックしてしまい、結局就寝が遅くなる。投資と仕事、どちらに重きを置くべきか……W氏の迷いは、月曜日の終わりとともに深まっていった。
