ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
相乗効果を使う〜「ほったらかし」はもったいない~
近年、「ほったらかし投資」という言葉をよく耳にします。特にインデックスファンドへの積立投資では、相場を気にせず長期で放っておけば資産が育つという考えが一般的になりつつあります。
確かに合理的な一面もありますが、オーナー型株式投資においては、「ほったらかし」にすることで最も大切な学びを失ってしまうという大きなリスクがあります。それは、「事業を見る眼」を育てる機会を放棄してしまうことに他なりません。この視点は、労働者3.0(※)が持つべき「事業に対する本質的な洞察力」と直結しており、キャリア形成と資産形成を両輪で高めていく鍵(かぎ)でもあるのです。
もうひとつの問題は、「納得感のない投資」は長期で保有し続けることが難しいという点です。
保有企業への理解が浅いまま投資していると、相場が下落したときに不安になり、慌てて売却してしまうリスクが高まります。たとえば、2024年8月5日、日経平均が急落した際、新NISAを利用していた初心者層の中には、投資先企業の内容をよく理解していなかったため、パニックに陥り保有銘柄をすべて売却してしまった人が多数見られました。
一方で、企業内容への理解と納得感を持っていた投資家たちは、むしろ積立を継続し、結果的にその後の回復局面で資産を増やしています。ここに、「投資先企業をしっかり理解しているかどうか」がもたらす決定的な差があるのです。
これは、インデックスファンドへの投資であっても例外ではありません。もちろん、数百社に分散された指数全体を把握することは現実的ではありませんが、代表的な構成銘柄のうち2〜3社について調べるだけでも、投資に対する姿勢が大きく変わります。
たとえば、インデックスに含まれる主要企業のビジネスモデル、競争優位性、財務体質などを知ることで、自分が何に対して資本を託しているのかが具体的に見えてくるのです。このような「部分的な理解」でも、オーナーとしての納得感を育てるには十分であり、投資を「学びの場」に変える第一歩となります。
投資とは、本来「自分が何を信じ、どの未来に賭(か)けているのか」を明らかにする営みです。だからこそ、日々の仕事と投資を切り離すのではなく、むしろ相互に高め合う視座を持つべきでしょう。
オーナー型株式投資は、企業の未来に伴走し、自らの思考力・分析力を磨きながら、資産とキャリアを共に築いていくための最高のフィールドです。学びがあまりにも多く、成長のチャンスに満ちているので「ほったらかし」という選択が極めてもったいない――そうした選択で失った機会を再び得るのは困難です。
たとえインデックス投資であっても、少しの主体性と好奇心をもって向き合うだけで、あなたの投資は「オーナーシップを伴った投資」へと変わっていくはずです。
