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ランチの誘いより株式売却を優先させる火曜日
寝不足の朝、重要なプレゼンテーションの準備に追われるが、市場の寄り付きが気になり、つい証券アプリを開いてしまう。株価チャートを見ながら「ここは損失が出る前に売るべきかどうか……」と迷いながらも、意識を仕事に戻す。
顧客との商談は順調に進み、成功裏に終わる。その後ランチに誘われるが、「午後の予定があるので」と断ってしまう。実際には、相場の動向をチェックしたかっただけなのだが。昼食を簡単に済ませ、スマホを確認すると「午後下落の可能性あり」との投稿を見つけ、慌てて売却を進める。「今ならまだ少しは益が乗っているはずだ」と自分に言い聞かせるのだった。
午後はプレゼンテーション資料の修正に取り組むが、売却後の株価が気になり、なかなか集中できない。夕方、上司から「明日の会議資料はどうなった?」と尋ねられ、慌てて「あと少しで仕上がります」と答え、残業を覚悟する。
夜、帰宅後、毎月1万円を支払っているオンラインサロンにログイン。著名投資家の講義を聞くが、内容はSNSやYouTube と大差ない。それでも「特別な情報を得ている」という満足感を覚え、注目銘柄のチャートを眺めるうちに、また就寝時間が遅くなってしまう。
利益確定も夜中まで値動きを凝視する水曜日
寝不足の朝、W氏は真っ先に証券会社のサイトにログイン。2週間前に新NISA枠で購入したS&P500インデックスファンドが順調に値上がりしており、迷わず売却オーダーを出す。「非課税で利益を確定できるなんて、本当にラッキーだ」と優越感に浸りながら、仕事の準備に取りかかった。
今日は午後に重要な社内会議が控えているが、昨日の残業で資料はほぼ完成している。午前中は集中して最終調整を行い、無事に発表を終えた。上司やチームメンバーからの評価も上々で、W氏は「今日は仕事にしっかり向き合えた」と安堵する。
しかし、会議後に上司から誘われた慰労会を兼ねた飲み会は「今日は用事があるのですみません」と断ってしまう。というのも、売却益がどれくらい出るかが気になっていたからだ。「会社のメンバーと飲みに行っても時間とお金が減るだけ」と感じている。
帰宅後、再びスマートフォンを手に取り、次の投資先を模索する。「売却益をどのセクターに振り向けるべきか?」と考えながら、インフルエンサーの最新投稿をチェック。やがて米国市場がオープンし、値動きを凝視する時間が始まる。結局、夜遅くまで相場の動向に一喜一憂し、翌朝には目の下にクマを作る羽目に。
「塩漬け銘柄」発覚に、動揺を隠せない木曜日
木曜日の朝、W氏は満足感とともに目を覚ました。前夜の米国市場は予想以上に上昇し、売却オーダーを出していたS&P500インデックスファンドの価格もさらに値上がりしていた。新NISA枠での取引だったため、売却益に税金がかからないことを改めて確認し、「いいタイミングで売った」と自分の判断を誇らしく思う。
しかし、W氏の頭にはもう一つの悩みがあった。それは、数カ月前に購入した個別銘柄の存在だった。購入時は「確実に上がる」とインフルエンサーが言っていたが、実際には買値を大きく下回り、「塩漬け」の状態になっていた。参考にしていたインフルエンサーの投稿からは、その銘柄のコメントは姿を消している……。
「このまま損切るべきか、それともナンピン(株価が下落した時に買い増す行為)を入れて平均取得価格を下げるべきか……」というとりとめもない考えが、業務時間中もときおり頭をよぎるのだった。
